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第247話
戻ってきたミーヤさんにギルドの奥に案内される。
……この流れって、やっぱりあれだよね。
ミーヤさんが一番奥の部屋の前まで来ると、扉をノックした。
「ギルドマスター、フタバさんたちをお連れしました」
やっぱり!
え、なんでここでもギルマスが出てくるの!?
定番イベントだけど、ギルマスは一回でいいよ!?
『入ってください』
そんな事を考えていると、部屋の中からそう返事が返ってきた。
うわ、またドランさんみたいな人だったらどうしよう!?
俺の心の準備が出来る前に、ミーヤさんが『失礼します』と行って扉を開けてしまった。
『どうぞ、お入りください』とミーヤさんに手で示される。
………これは、もう覚悟を決めるしかないよね。
そう思って、俺は意を決して部屋に入った。
中に入るとギルマスだろう人が立っていた。
ミーヤさんは俺たちを案内し終えると、すぐに部屋から出ていってしまった。
『どうぞ』とソファに座るようその人に促された。
俺は促されるままソファに座る。
俺の両サイドにレイスとディルが、ソファの後ろにリオさんが立った。
ローテーブルを挟んだ向かいにギルマスが座る。
「初めまして、私は冒険者ギルドレオーネ支部のギルドマスターを任されていますローフェスと申します。以後お見知り置きください」
ローフェスさんは胸に手を当てて軽く頭を下げた。
「ディルハルト殿下もお久しぶりです。ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ありません」
そう言ってローフェスさんはディルに向けて頭を下げた。
そうか、ギルマスであるローフェスさんはディルが皇子だって知っているのか。
「気にしなくて良い。今は皇子ではなくて冒険者としてここにいるかな」
ディルがそう言うと、ローフェスさんはまた軽く頭を下げた。
ギルマスって言うからどんなゴツい人かと思えば、見た目は華奢な人だ。
銀髪………いや白髪かな。
に赤い瞳、片眼にモノクルをしてすごくキレイな人。
「……私の容姿が気になりますか?」
ローフェスさんを見ていると、そう言ってローフェスさんが少し悲しそうに笑った。
まずい!見すぎた!
「す、すいません!アルビノの人を見たのが初めてだったので」
そう言って俺は慌てて頭を下げる。
「………アルビノ?」
ローフェスさんが首を傾げる。
「え、違うんですか?白髪に赤い瞳だったからそうだと………」
「『アルビノ』って何だ?」
俺が慌てていると、レイスがそう聞いてきた。
「え?」
……あ、そうか。
この世界には『アルビノ』って言葉がないのか。
「アルビノっていうのは、色素を持たずに生まれてきた生き物の名称だよ」
そう説明すると、レイスが『そうなのか』と頷く。
「あの、あなたは私が気味悪くないのですか?」
レイスと話していると、ローフェスさんが遠慮がちに聞いてきた。
「全然。その白髪も赤い瞳もすごくキレイだと思いますよ」
「……そうですか」
そう言ってローフェスさんはふわっと笑った。
「私は生まれつきこの髪と瞳で、周りからは気味が悪いと言われてきました」
……やっぱりそういうのがあるのか。
俺はその事を考えて、少し気落ちしてしまう。
「まぁ、そう言って絡んできた輩は殆ど叩きのめしましたけどね」
………ん?
信じがたい言葉が聞こえてきてローフェスさんを見てみると、ローフェスさんはニッコリと笑う。
でもその笑顔は黒いものを纏っていた。
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