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第252話

久しぶりにレイスと一緒に寝ることになった。 レイスと一緒にベッドに入ると、すぐに睡魔が襲ってきた。 昼寝したのにこんなにすぐ眠くなるなんて…… さっきまで全然眠くなかったのにな。 レイスにくっつくと、レイスの体温が伝わってくる。 やっぱりレイスの傍は落ち着く。 そう思いながら、俺は眠りについた。 朝、目を覚ますとレイスは居なかった。 先に起きてどっかに居るのかな。 そう思って、俺はグッと伸びをした。 何か、久しぶりに良く寝たような気がする。 レイスと一緒に寝たからかな。 俺は着替えて食堂に向かおうとした。 その時ふと机の上に置いてある紙が目に入った。 見てみると、この世界の文字が書かれていた。 これって手紙? 昨日は無かったのに…… 俺は、その手紙を見て何か嫌な予感がした。 何がって聞かれると困る。 ただ何となく、勘みたいなものだった。 俺は慌てて部屋を出た。 邸の中を走る。 その途中でメイドさんに会った。 「フタバ様、おはようございます」 そう言ってメイドさんが頭を下げてきた。 ただ俺はそれどころじゃ無かった。 「レイス、レイス知らない!?」 そうメイドさんに詰め寄ると、メイドさんは驚いた表情をした。 「レ、レイス様ですか?今日はお見かけしていませんが……」 俺はまた邸の中を、レイスを探して走り回った。 俺の気のせいならそれで良い。 むしろ気のせいであって欲しい。 でも時間が経つにつれて不安が大きくなる。 大丈夫、俺はそう自分に言い聞かせていた。 「フタバ!」 レイスを探して邸を走り回ってると、ディルとリオさんに鉢合った。 「メイドがフタバが走り回ってるって………」 「レイス知らない!?」 そうディルに詰め寄った。 ディルが驚いた表情をする。 「……レイス?」 「どこにも居ないの!ずっと探してるのにどこにも居ないの!」 「ちょっと落ち着け。ただ出掛けてるだけじゃないのか?」 「机の上に手紙が置いてあって……でも何て書いてあるか分からなくて」 そう言って俺は手紙をディルに渡した。 ディルはその手紙に目を通した。 嫌な予感が消えない。 すごく嫌な感じがする。 手紙を見ていたディルの顔が険しくなる。 「…フタバ、レイスはここには居ない」 そうディルが言った。 「……レイスが居ないって、どういうこと……?」 ………レイスが居ない? ディルは何を言ってるの? 「これにはアルザイルに戻ると書かれている」 そうディルが言う。 ……アルザイル?戻る?どういうこと? 「おい、フタバ?」 ディルの声が遠い。 何を言ってるのか分からない。 俺は力が抜けてその場に座り込んでしまった。 「フタバ!?」 「フタバさん!?」 ディルとリオさんが座り込んでしまった俺に駆け寄ってくる。 でも俺には二人の声は聞こえなかった。

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