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第257話

(レイスside) 俺は与えられた部屋に戻った。 窓辺に座り、上着のポケットに手を入れる。 そこから取り出したのは、フタバのペンダント。 フタバがルディに着けてあげたやつだ。 城を出るとき、ルディに借りた。 通じてるのかどうかは分からないけど、ルディは大人しく貸してくれた。 俺はそっとペンダントにキスをする。 その後、空を見上げた。 今頃フタバはどうしてるだろう。 何も言わずに居なくなった俺を怒ってるかな。 そう思ったら苦笑が漏れた。 ディルたちには手紙で事情を説明した。 でも俺の手紙だけではディルたちは動けない。 それも計算の上だった。 俺の事情で、フタバもディルたちも巻き込む訳にはいかない。 俺が一人で何とかするしかない。 そんな事を考えていると、扉がノックされた。 「…フレディ?」 扉を開けるとフレディが立っていた。 「お兄様」 フレディが抱き付いてくる。 「申し訳ありません。私のせいで……私がもっと注意していればこんな事には……」 そう言ってフレディはポロポロと涙を流す。 「大丈夫だ、フレディのせいじゃない」 俺は流れる涙を拭う。 「ですが、そのせいでお兄様が……」 「俺は大丈夫。遅かれ早かれ、こうなってたんだ」 俺はフレディの首に付けられた物に触れた。 「何も心配ない、俺が必ず何とかする。その為に俺がここに居るんだから」

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