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第258話

目を開けると、ルディが心配そうに覗き込んできた。 「……ルディ?」 ……俺、どうしたんだっけ? なんでベッドで寝てるんだろう。 「……フタバさん、気が付かれましたか」 そんな事を考えているとそう声がして、見るとリオさんが居た。 「……リオさん」 俺が体を起こそうとすると、リオさんに止められた。 「もう少し寝ていてください」 「……あの、俺どうして…?」 「フタバさんは一昨日の夜に倒れたんです」 「一昨日!?」 ……倒れたって、一昨日? 「原因はストレスだそうです。医師も休めば良くなると言っていたので、今は休んでください」 ……ストレス。 「……すいません。迷惑掛けてしまって」 「大丈夫ですよ。迷惑なんて思っていませんから」 そう言ってリオさんは笑ってくれる。 でも俺は申し訳なくて仕方なかった。 「何か食べるものを持ってきますね」 そう言ってリオさんは部屋を出ていった。 リオさんが出ていったことで、俺は部屋に一人になる。 『シーン』と効果音がつくくらい静かだ。 俺は座り直して周りを見回す。 何度見回しても俺は一人だ。 「……レイス」 俺は無意識にレイスを呼んで膝を抱えた。 「…フタバさん」 どれくらい経ったのか、名前を呼ばれてハッとする。 見ると、リオさんが心配そうに覗き込んでいた。 「大丈夫ですか?」 そう言ってリオさんが俺の頬に触れる。 「……大丈夫です」 そう言うと、リオさんは少し寂しそうに笑って『そうですか』と言った。 「スープを持ってきたんです。フタバさんは3日何も食べてないので、軽いものですが」 そう言ってリオさんはスープの入ったお皿の乗ったトレイを手渡してきた。 「……ありがとうございます」 俺は受け取ったスープを眺める。 一口、スープを飲んでみた。 でもそれきり手が伸びなかった。 「……無理そうですか?」 「……すいません」 俺が謝ると、リオさんは『大丈夫です』と言ってスープをさげてくれた。 『もう少し休んでください』と言ってまたベッドに寝かせられた。 「何かあったらいつでも呼んでください」 そう言ってリオさんは部屋を出ていった。

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