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第259話
(ディルside)
レイスがアルザイルに行ってから一ヶ月が経った。
フタバも何とか食事を取ってくれるようになった。
レイスが居なくなった当初は殆ど食べなくて心配したが、今は少量ではあるが食べてくれるようになった。
たまに部屋からも出ているらしい。
ただ、あれからフタバは笑わなくなった。
レイスが居なくなってから、フタバの笑顔を見ていない。
レイスが戻りさえすれば、きっとフタバも元の笑顔を見せてくれる筈だ。
「リオ、状況はどうだ」
俺は執務室でリオから調査報告を受けていた。
「はい調査の結果、レイス様の手紙に書かれていた事の裏付けが取れました」
「………やっとか」
そう言って、俺は息を吐く。
「しかしこれが実現されれば、アルザイルはもちろん、このレオーネにも多大な被害が出ます」
「もちろんそんな事はさせない。何としてでも阻止しなければならない」
「……動かれますか?」
そう言うリオに、俺は頷いた。
「しかし阻止するとなると……」
「元凶を潰すしかないだろう」
「では首謀者の方を?」
「いや、先にフレデリア皇女の方だ。フレデリア皇女に着けられた隷属の首輪を何とかしなければならない」
「しかし隷属の首輪は解除が難し……っ!?」
そう言い掛けたリオが突如扉の方に視線を向けた。
俺も扉の方に視線を向ける。
「……ディル様、お気を付けください」
そう言ってリオが俺の前に立つ。
何だ、このプレッシャーは……
とてつもない魔力が動いている。
未だ嘗て感じたことの無い膨大な魔力に、俺とリオに緊張が走った。
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