265 / 269
第263話
目を覚ますと、そこは知らない部屋だった。
俺は部屋の中を見回した。
部屋の造りから、多分離宮の中にある部屋だと思う。
俺たちに与えられてる部屋より一回り狭くて、家具もベッド以外何もない部屋。
俺はなんで自分がここに寝かされていたのか分からなかった。
状況が分からなくてキョロキョロと首を動かしていると、ズキンと首に痛みが走った。
俺は咄嗟に首を押さえた。
………首、痛い。
なんでと考えてると、部屋の扉が開いて思わず体が揺れた。
「フタバさん、気が付かれましたか」
そう言ってリオさんが顔を出した。
リオさんにそう言われて、俺はさっまでの事を思い出した。
「リオさん、俺……」
「待ってください」
リオさんに遮られる。
「色々話したい事はあると思います。ですがもうしばらく待ってください」
そう言ってリオさんが力なく笑う。
「……リオさん?」
なんだろう、リオさん何か顔色が悪い?
「リオさん、もしかして体調悪いですか?」
そう聞くと、リオさんは苦笑を漏らした。
「大丈夫ですよ。少し休めば良くなりますから」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(リオside)
目を覚ましたフタバさんは落ち着いていた。
状況は理解しているみたいだけど、魔力が暴走したのは無意識だったみたいだ。
「フタバさん、フタバさんは我らの話を聞いて魔力が暴走したんです」
「……魔力の暴走」
「はい、それを見かねたディル様がフタバさんを気絶させました」
そう言うと、フタバさんが頷いた。
「今、ディル様が陛下の所に行っています。ディル様が戻られたら、事の顛末をお話致します」
「……良いんですか?」
「え?」
「レイスに口止めされていたんじゃないんですか?」
「………どうしてそれを?」
「レイスからの手紙、あれに書かれていたんじゃないんですか?」
本当にフタバさんは敏い。
「……そうですね。ですが既に隠してはおけない状況になってしまっています」
そう言うと、フタバさんは何故か目を伏せた。
ともだちにシェアしよう!