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第264話

(ディルside) 王宮から離宮に戻ると、フタバが起きていた。 リオがフタバの世話をしている。 全く、休んでいろと言った筈なんだけどな。 そう思って、俺は息を吐いた。 気付くと、フタバがじっと俺を見ていた。 俺はまた息を吐いた。 俺たちは執務室に移動すると、フタバに座るように指示する。 お茶の支度をしようとしていたリオにも座るように指示した。 「全く、大人しくしていろと言っただろう」 「申し訳ありません」 そう言って、リオは困ったように笑った。 俺は小さく息を吐くと、今度はフタバに視線を向けた。 フタバはじっと俺を見つめてくる。 俺はもう一度息を吐いた。 俺は内ポケットに入れていたレイスの手紙をテーブルの上に置いた。 「今レイスに何が起きてるのか、これに書いてある」 そう言うと、フタバが手紙に視線を向ける。 「俺には読めないよ」 そう言うフタバに、俺は頷いた。 「分かっている。これからそれを説明する」 俺はまずは手紙の内容を説明した。 レイスの妹であるフレデリア皇女に隷属の首輪が着けられ人質に取られていること、そのせいでレイスがアルザイルに戻ったことを包み隠さずフタバに話した。 話終えて、俺はチラッとフタバを見る。 フタバは何も言わず、大人しく俺の話を聞いていた。 ………大人しすぎる。 この話を聞いて、もっと取り乱すかと思っていたんだが… レイスの話をして、フタバがまた暴走するかもしれないと覚悟していた。 その為に微力ではあるが、魔力封じの魔道具もフタバに着けていた。 でも話を聞いたフタバは落ち着いてじっと俺の話を聞いている。 「…隷属の首輪はどんな仕組み?」 「え?」 そんな事を考えていると、フタバにそう聞かれて思わず聞き返してしまった。 「この世界の隷属の首輪は魔力を介するタイプ?それとも体内に影響するタイプ?」 「え、あぁ…魔力を介するタイプだ」 フタバがあまりにも淡々と話すから、一瞬意味が理解出来なかった。 「……そう」 フタバは小さく頷くと、何か考え始めてしまった。 落ち着きすぎてて、逆に怖いな。 ……大丈夫だよな、落ち着いているよな? そう思って、俺は考え込むフタバを見つめた。

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