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第265話
(ディルside)
しばらく考え込んでたフタバが突然立ち上がった。
立ち上がったフタバが部屋を出ていこうとする。
「フタバ?何処に行くつもりだ?」
そう聞くと、フタバは振り返る。
「レイスを助けに行く」
「っ!?何を言ってる!?」
「状況は分かった。どうすれば良いのかも分かってる」
そう言うフタバの目には迷いはなかった。
「………どうにか、出来るのか?」
そう恐る恐る聞いてみる。
「多分」
「多分?」
「保証はしない。俺だってあくまで"上手くいく筈"で考えてるから」
とても不確かな答え。
でも不思議と、フタバならやり遂げてしまう気がした。
「ここからは俺が一人で動くよ。ディルは動けないでしょ、だから俺一人で行くよ。俺なら国同士のいざこざとか関係無いからね」
俺だってレイスを、大切な友を助けたい。
でも俺が独断で動けば、国同士の争いになってしまう可能性がある。
そうなれば、アルザイルどころかレオーネにも甚大な被害が及ぶ可能性がある。
そんな事はレオーネ王国の皇子として絶対に合ってはならない。
今の俺には友一人助けられない。
俺は拳をギュッと握り締める。
……それでも。
俺はフタバを見据えた。
「どうすればレイスを助けられる?」
皇子としての立場でいえば、間違った選択なのは分かってる。
それでも希望があるなら、今大切な友が助けを求めているなら、俺はその手を取りたいと思う。
「……俺もレイスを助けたい」
そう言うと、フタバはふわっと笑った。
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