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第3話

それからというもの、何故か木崎は俺の前に現れるようになった。 「緋桜くん、一緒にお昼食べない?」 そう言ってくる木崎を無視して屋上に向かう。それでも、木崎は着いてきた。 「緋桜くん、お昼食べないの?」 そう言って木崎は当然のように俺の隣に座ってる。 なんでこいつは俺に構うんだ? 「食べないと身体に悪いよ。はい、これ!」 そう言って、焼きそばパンを渡してきた。 俺はそれを受け取らずに顔を逸らした。 もういい放っておこう。こいつも俺に構うのは今だけだ。 その内絶対に離れていく、今までと同じだ。 そう思って、俺は木崎を無視して寝転がった。 そのまま目を閉じると、いつの間にか眠ってしまった。 目を開けると空が赤らんでいるのに気付いた。 寝すぎた!? そう思って、俺はいきおいよく起き上がる。 起き上がる、何かが落ちた。 ………これ…? それは制服の上着だった。 これ、もしかして木崎の?俺が寝てたから掛けてくれたのか? ………なんで、あいつは俺に構うんだ?どうせ離れていく癖に。 そう思って、俺は制服の上着をギュッと握り締めた。 これ、返した方がいいよね?あ……でも、木崎のクラス知らない。 ………明日も、来るかな? 明日返せばいいと思って、今日は帰ろうと俺は荷物を取りに教室に戻った。 「ねぇ君ってさ、中村 緋桜でしょ?」 教室に戻る途中、数人の男子生徒に声を掛けられた。 ネクタイが赤………三年生? うちの学校は学年によってネクタイの色が違う。 今年は一年が青、二年が緑、三年が赤。 ネクタイの色は、ローテーションするから毎年違う。 この人たち…………三年で有名な不良たちだ。 確か名前は………あっそうだ、斎藤 和希。 でも、なんでそんな人が俺に? 「………なんですか?」 「お前ってさぁ、"疫病神"って呼ばれてたんだろ?」 そう言われて、思わず体が揺れた。 「……なんで」 この高校は地元から離れている。だから誰も俺の事を知ってる人は居なかった 。 「なぁ、なんで疫病神なんだよ?」 先輩の友達らしき人が、そう先輩に聞く。 「こいつの近くにいると、何かしら起きるらしい」 「なんだよ?何かしらって」 そう言って、別の人が話に入ってくる。 「色々ウワサがあったな。怪我したとか、親の会社が倒産とか、家が火事になったってのも聞いたな」 「あははっ!やべーじゃん、それ!」 なんで、この人は俺の事を知ってるんだ? 「そういや、こいつ。最近一年生徒会長とよく一緒にいるよな?」 「次の犠牲者は、生徒会長ってか?」 そう言って、先輩たちは笑う。 「………用がないなら、もう行って良いですか?」 そう言ってその場を離れようとすると、進行方向を手で遮られた。 「興味あるんだよね、お前に近付いたら不幸になるっての。だからさ~試させてよ、何をしたら不幸になるのかをさ」 先輩がそう言うと、横の二人が俺の腕を掴んできた。

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