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第9話
(秋哉side)
「え?ちょっと、緋桜くん!?」
俺は倒れた緋桜に声を掛ける。
「緋桜くん!?」
名前を呼んでも反応がない。
………完全に意識を失ってる。
俺は、緋桜の口元に手を持っていった。
呼吸はしてる。取り合えず、ここじゃ何も出来ないから運ぶか。
そう思って、俺はポケットから携帯を取り出した。
電話を掛けると、数コールで相手が出た。
「あ、佐々木?悪いけど車出してくれない?……………いや、ちょっと………
あ、後、医者も呼んどいて…………いや、俺じゃない……………取り合えず、頼んだ」
電話を切ると、俺は緋桜を抱きかかえた。
「ッ!………軽っ」
抱えた瞬間、その軽さに驚いた
なんでこんなに軽いんだ?そういえば、独り暮らしだって聞いたな。ちゃんと食べてるのか?
俺はそんな事を考えながら、校門の前で迎えが来るのを待った。
しばらくすると黒い車が前に停まる。窓が開いて、スーツを着た男が顔を出した。
「秋哉さん、お待たせしました」
「佐々木、急に悪かったな」
俺は緋桜を抱えたまま、車の後部座席に乗り込んだ。
「秋哉さん、その方は?」
「俺の………友達?」
「なんで、疑問形なんですか?」
佐々木は呆れたように言う。
「仲良くなってる最中」
「……そうですか」
「ところで医者は?」
「手配済みです」
「なら急いで」
「分かりました」
そう言って、佐々木は車を走らせた。
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