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第10話

(秋哉side) 緋桜を家に連れて帰って、待機していた医者に緋桜を任せた。 俺は診察が終わるまで、別室で待つことにした。 何があったんだ?学校では暗くて気付かなかったけど、服が乱れていた。 ………まさか。 「佐々木、ちょっと頼みがあるんだけど」 俺は近くにいた佐々木に声を掛ける。 「何ですか?」 しばらく話して、佐々木は分かりましたと部屋を出ていった。 俺はソファに座って息を吐くと、そっと目を閉じた。 俺が中村 緋桜を見つけたのは、入学式の時。 初めて見たとき、綺麗だと思った。 クラスは違うけど、なぜか自然と目が緋桜を追うようになった。 俺が見た緋桜はいつも一人だった。 人と接することを避けているようにも見えた。 見ていると、緋桜はかなり運が悪いらしい。 購買のパンも買うのは大抵、売れ残ったようなパンばかりだった。 それを見かねて、声を掛けてみた。 話してみた緋桜は、最初の印象と違っていた。 大人しくて物静かなんだろうと思っていたけど、実際の彼は違っていた。 目を見て、しっかりと自分の意見を言う。 ただ、その視線は明らかに"拒絶"だった。 俺はますます緋桜に興味が湧いた。もっと、緋桜の事を知りたいと思った。 仲良くなりたいと思った。そんなことを思うなんて、自分でもびっくりだった。 しばらくして、ドアがノックされる。 その後、佐々木が入ってきた。 「秋哉、あの子の治療が終わったらしいぞ」 佐々木が部屋に入るなりそう言う。 佐々木がオフモードになってる。もうそんなに時間がたったのか。どうやら、眠っていたようだな。 「緋桜の様子は?」 「今は眠っている」 佐々木から結果報告を受ける。 緋桜は外傷はなく、ただ気を失っているだけだそうだ。 「それと………」 「まだ何かあんの?」 「………確証はないが、恐らく襲われたんだろうって言ってた」 「………そう」 やっぱりそうか…… 「ねぇ佐々木、さっき頼んだことってどうなった」 「え?あぁ、すぐに分かった。お前たちの前に校舎を出たのは、3年の斎藤 和希とあと二人」 3年の斉藤………あの不良グループか。 「どうするつもりだ?」 「どうしようかなぁ。なんか俺、今結構腹立ってる」 俺の顔を見て、佐々木はため息をついた。 「程々にしとけよ。 ……で、あの子はどうするつもりだ?」 「どうするって?」 俺は首を傾げた 「お前のことだから、ここに住まわすとか言い出すんじゃないかと思ってな」 「あぁ、その手があったか!」 そう言って、俺はポンと手を叩いた 「おい!やめとけよ」 「なんで?佐々木が言い出したことじゃん」 「いや、だから、本人の意思を無視してってのはやめとけ」

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