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第13話

(秋哉side) 俺は屋上に続く階段を登っていた。 最上階まで来て扉を開ける。屋上に出て辺りを見回すと、角の方に3つの人影を見つけた。 「見つけた」 俺は笑って、その人影に声を掛けた。 その瞬間、3人が驚いて俺を見る。 「ッ!なんだよ、一年生徒会長じゃん」 一人がそう声を上げた。 「探しましたよ、斎藤先輩」 「生徒会長様が俺になんの用だ?」 そう言って、斎藤先輩が睨んでくる。 「ちょっと聞きたい事があって」 「聞きたい事?」 「昨日、なんであんな遅くまで学校に居たのかなぁと思って」 そう聞くと、斎藤先輩がピクッと反応した。 「そんなのてめぇには関係ないだろ」 斎藤先輩がそう言うと、俺は先輩を少し睨んだ。 「ねぇ、あんたらさぁ緋桜に何したの?」 「緋桜?……あぁ、中村緋桜か。別に、ただ遊んでやっただけだぜ?」 そう言って、斎藤先輩がニヤッと笑う。他の二人もニヤニヤと笑っていた。 『遊んでやった』……ねぇ 「俺ね、結構怒ってるんだよね。 あんなに緋桜を泣かせておいて遊んでやったってのはないよね?」 そう言って、今度は3人を殺気を籠めて睨むと、3人が少し怯む。 「俺、お気に入りを傷つけられるの嫌いなんだよね。緋桜に手を出して只ですむと思ってないよね?」 「ッ!な、なんでお前が出てくるんだよ!?」 そう先輩の取り巻きの一人が少しビビりながら叫ぶ。 「言ったでしょ?緋桜は俺のお気に入りなんだよ」 それを聞いて、斎藤先輩がハッと笑った。 「お前知らないのかよ。あいつは"疫病神"って呼ばれてるんだぜ?そんなやつをお気に入り?お前、不幸になるぞ」 「そんなの関係ないよ。それに不幸になるのは俺じゃなくてあんたらだし」 「はっ、それがお前の本性かよ。優しい生徒会長様が聞いて呆れるぜ」 「俺は元からこうだよ。勝手なイメージを膨らませてるのは周りだからね」 それに合わせてるだけだよと俺は言った。 俺は先輩にゆっくりと近付いた。 先輩の前まで行くと、先輩の胸ぐらを掴んで自分の方に引き寄せた。 「緋桜には近付くな!いい、これは警告だよ」 そう言うと、先輩の顔が引き吊った。 他の先輩たちもただ見てるだけだった。 「次、緋桜に近付いたらただじゃ置かない。俺があんたを潰すから」 そう言って、俺はその場を立ち去った。 あれだけ脅して置けば、もう緋桜には近付かないかな? 何かもう一押しほしい気がするけど、取り敢えずしばらくは大丈夫かな。 そんな事を考えていると、携帯がなった。 携帯を取り出して見ると、画面に"佐々木"と表示されていた。 佐々木?こんな時間に掛けてくるなんて珍しいな 佐々木は、学業の邪魔になると言って、緊急じゃない限りは掛けてこない。 ………なにかあったのか? そう思って、俺は電話に出た。 「佐々木?どうしたの?」 『悪い』 佐々木がオフモードの口調になってる。 相当焦ってる? 『あの子が居なくなった』 「はぁ!?どういうこと?」 『ちょっと目を離した隙に、脱け出したみたいで』 「何やってんの!?」 『だから、悪いって!』 「分かった、俺も探すよ」 『いや、それはこっちでやるから、お前は授業受けろよ』 「佐々木?何言ってんの?」 自分でも声のトーンが一気に低くなってるのが分かった。 「こんな状況で大人しく俺が授業受けると思ってんの?」 『………分かったよ、ただし、定期的に連絡しろよ』 「ん、努力する」 『いや、それ分かっ………………』 俺は佐々木が話しているにも関わらず、電話を切った。 緋桜が行くとしたら、どこに行く? 考えてみるけど、緋桜の行きそうな場所が検討も着かない。 こんなことなら、昨日俺の番号を登録しとくんだったな。 そう思って、俺は思わず苦笑した。

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