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第15話
「いや、昨日……その…体は拭いたけど、気持ち悪いんじゃないかと思って」
佐々木さんにそう言われて、俺の体が揺れた。
この人も知ってるんだ……
「そこの扉がバスルームだから………もし体が辛いなら手伝うけど?」
「………いえ、大丈夫……です」
そう言って俺はお風呂を借りようと、ベッドから降りようとした。
でも上手く体に力が入らなくて、ベッドから滑り落ちてしまった。
「緋桜くん!?」
ベッドから滑り落ちた俺に、佐々木さんが手を貸そうとした。
「っ!…いやだ」
その手が視界に入った瞬間、恐怖に襲われて俺はギュッと体を縮こませた。
「…………すいません」
俺はせっかく手を貸そうとしてくれた佐々木さんを拒んでしまったことに謝りながら、震える体をギュッと押さえ込んだ。
「すいません。大丈夫ですから」
そう言って、俺は力の入らない体を何とか立たせる。
そのまま物を伝ってなんとかバスルームに辿り着いた。
佐々木さんはその間、心配そうに見ていた。
俺はバスルームに入ってドアを閉めると、途端に床に座り込んでしまった。
さっきから体が震える。
気持ち悪い。
そう思ったら急に吐き気がしてきて、俺は洗面台に吐き出してしまった。
吐き出してしまった物を水で流す。
俺はまたその場に座り込んでしまった。
しばらくしてこれ以上時間は掛けられないと思って、俺は服を脱いでバスルームに入る
シャワーを出して自分の体に掛けていった。
ふと、手首の痕に気付く。
その痕が何なのか理解すると、ヒュッと呼吸が止まった。
またガタガタと体が震える。
俺は震える体をギュッと抱き締めた。
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