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第19話

(秋哉side) 俺は学校を出て、家までの道を緋桜を探しながら歩いた。 緋桜が行きそうな場所。 緋桜、自分の家に帰ろうとしたのか? でも、緋桜は俺の家からの帰り方を知らない筈だ。 まともに動けない筈だから、そう遠くには行ってないと思う。早く見つけないと…… そう思って歩いていると、少し大きめの公園が目に入った。 俺はその公園の前でふと足を止めた。 …………ここに居るなんてないよな? そう思っても何となく気になって、俺は公園に入った。 公園に入って周りを見回す。 人の姿は無い。 少し公園内を歩いていると、ベンチに踞ってる人影を見つけた。 近付いて見ると、それが緋桜だってことに気付いた。 「緋桜くん!」 俺は踞ってる緋桜に声を掛けて駆け寄る。 その瞬間、緋桜の体が跳ねた。 驚かせたみたいで、緋桜は恐る恐る見てきた。 「……きさ、き……?」 「何してるの、こんなとこで!?」 突然声を上げた俺に、緋桜は体を縮こませる。 「そんな状態で、外に出るなんて何考えてるの!?」 「…ぁ……」 緋桜の怯える様子を見て、他の俺はハッとした。 俺が怯えさせてどうする。そう思って俺は少し気持ちを落ち着かせた。 「なんで出ていったの?」 俺は怯える緋桜に出来るだけ優しく話しかけた。 「家に……帰りたかった、から……」 「立ってるのもやっとの状態で、家に帰ってどうするの?」 「これ以上居たら……絶対に迷惑、かけるから」 「迷惑ってなに?」 少し声がきつくなる。 その声に、緋桜がまた少し怯える。 俺は息を吐いて、また気持ちを落ち着かせた。 「緋桜くんの言う、迷惑って何?」 そう聞くと、緋桜の目が少し泳ぐ。 「……俺が傍に居たら、なにがあるか分からない」 そう言う緋桜に、俺はため息をついた。 「………俺は、そんな状態の緋桜くんを放っておけないんだけど?」 俺がそう言うと緋桜がピクッと反応する。 「……ダメ、なんだ………俺の側に居ると、お前を不幸にする」 そう言って、緋桜は悲痛な表情を浮かべる。 「……それは、緋桜くんが疫病神だから?」 そう言った瞬間、緋桜の体がビクンと跳ねた。 「………なん、で……?」 「斎藤先輩に聞いた」 「だったら、尚更………」 そう言って、緋桜は動かない体を必死に動かして俺から離れようとする。 どうして緋桜がこんな行動をするのかは分からない。 でも、一つだけはっきり言えることがあった。 「俺は緋桜くんが傍に居ても、不幸になるとは思わない」

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