(佐々木side) 「………俺が……緋桜を、好き……？」 そう言って、秋哉はポカンとする。 「佐々木、何言ってんの？」 ポカンとしていた秋哉が、スッと真顔に戻る。 「いやだって…お前のその反応、明らかに緋桜くんの事好きだろ」 「緋桜は男だよ。俺が男を好きになるわけないじゃん」 いやいやいや、こいつ今どういう顔で緋桜くんを見てるか気付いてないのか。 ……まぁ、こいつが恋愛方面が疎いのは仕方ないか。 そう思って、俺はため息を漏らした。 こいつの場合、自分から行かなくても相手が寄ってくる。 初めて自分から好きになった相手が男って、そりゃあ納得しないか。しかも、相手が相手だしな。 秋哉は自分から近付いて、離れられる経験がない。 今後どうなるかな、この二人は………… 秋哉が暴走しなきゃ良いんだけど。 「俺はもう休むけど、秋哉はどうするんだ？」 緋桜くんも落ち着いたみたいだし、時間も時間だから俺は寝ることにした。 「俺はここに居るよ」 秋哉にどうするのか聞くと、そう返ってきた。 秋哉は俺を見ずに、緋桜くんを見つめたままだ。 ………あんな顔で緋桜くんを見るくせに。 「程々にしけとよ」 「分かってる」 そう言いながらもいまだに緋桜くんを見つめ続ける秋哉に、俺はため息をついた。 「……じゃあ、おやすみ」 そう言って俺は部屋を出た。