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第25話
(秋哉side)
『お前って…ばか…』
そう言って、緋桜がフワッと笑った。
「っ!」
その瞬間、俺は呼吸が止まった気がした。
緋桜の笑顔、初めて見た。こんな風に笑うのか。
緋桜は殆ど笑わない。
恐らく、この笑顔は熱のせいなんだろうな。
そんなことを考えながら、ふと緋桜を見ると目がトロンとしている事に気付いた。
もしかして、熱が上がったか?
そう思って、俺はもう一度緋桜の熱を計ってみる事にした。
「緋桜くん、もう一度熱計ってみようか?」
「え?」
「熱、上がってきてるんじゃない?」
そう言って、俺はもう一度緋桜に体温計を咥えさせた。
体温計が鳴ってその数字を見て、俺は眉を寄せた。
「やっぱり上がってる」
表示されてた数字は9度4分。
話なんかせずに寝かせるべきだったと後悔した。
「緋桜くん、取り敢えず水飲んで」
そう言って俺が手を伸ばすと、緋桜が途端に怯えだす。
「ッ!……やだ!」
そう言って緋桜は体を震わせた。
「緋桜くん、ちょっとだけだから!」
「……やだぁ」
そう言って、緋桜はポロポロと泣き出しす。
あ、これちょっとヤバい?緋桜、熱で訳分からなくなってるかも。
……これは佐々木を呼んだ方が良いな。
そう言思って佐々木を呼びに行こうとすると、緋桜が服を掴んできた。
「ちょっ、緋桜くん!?」
え、これどうすんの?これじゃ俺、動けないんだけど!?
俺は服を掴む緋桜の手を外すことを出来ず、どうしていいか分からなくて取り敢えず携帯で佐々木を呼び出すことにした。
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