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第27話
目を開けると、木崎の姿が飛び込んできた。
木崎はベッドに座る形で眠っていた。
木崎!?なんでここに?
そう思っていると、自分が木崎の服を握り締めてることに気付いた。
俺は驚いて、服を掴んでいた手をパッと離した。
え、なんで!?なんで俺、木崎の服握って……?
そんな事を考えていると、ドアが開いて俺の体が跳ねた。
見ると佐々木さんが立っていた。
「あ、緋桜くん目が覚めた?」
そう言って佐々木さんはニコッと笑う。
「……佐々木さん」
俺は訳が分からずオロオロとしていた。
「緋桜くん、夜の事覚えてる?」
オロオロしてる俺を見て、佐々木さんがそう聞いてくる。
「……夜?」
「緋桜くん熱が上がってね、俺を呼びに行こうとした秋哉さんの服を無意識に掴んだみたいなんだ」
離そうとしても離さなかったと説明された。
なにやってんだ、俺。
そう思って、俺は横で眠ってる木崎を見た。
………俺が服を掴んでたから、木崎はここで寝てるのか。無理にでも離せばいいのに………
そう思って俺が木崎の顔を眺めていると、木崎の目がパチッと開いた。
俺は驚いて、思わず固まってしまった。
驚いて固まっていると、木崎と目が合う。
木崎は俺の顔を見てニコッと笑った。
「熱、下がったみたいだね」
「……ぁ……ごめん…」
そう言って俺は、木崎から視線を逸らす。
「ん?なにが?」
「……佐々木さんから聞いた……夜の事」
俺はそう言って、木崎の服のシワになってる部分を指差した。
「あぁ、気にしなくていいよ。熱がある時は人恋しくなるもんだよ」
人恋しいなんて、そんな事思ったこと無かったのに。
木崎は不思議だ。木崎と居ると、安らぐ気がする。
駄目なのに………俺が気を許したらまた………
木崎から離れなきゃ……
もう、あんな思いは二度としたくない……
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