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第28話

(秋哉side) 緋桜が熱を出してから2日。 体調も回復して、緋桜が家に帰りたいと言い出した。 正直帰したくない気持ちがあったけど、これ以上は引き留めることは出来なかった。 緋桜は佐々木が家まで送って行くことになった。 「秋哉さん、緋桜くんの準備終わったみたいですよ」 「分かった、すぐ行く」 佐々木に言われて、俺は車に乗り込んだ。 俺は助手席に、緋桜は後部座席に座っていた。 あれからいろいろ試したけど、緋桜が笑うことは無かった。 緋桜のあの笑顔をもう一度見たいと思ったんだけど、やっぱり熱のせいだったのかな? それよりも時折見せる曇った顔が気になった。 本当にこのまま帰しても大丈夫なのか? 「秋哉さん、着きましたよ」 佐々木に言われて学校に着いたことを知る。 緋桜は念のため今日は休んで、明日から学校に行くといった。 「じゃあ、また明日学校でね」 俺は車から降りて、後部座席に座る緋桜に声を掛けると緋桜が小さく頷く。 俺は走り去る車を見送った。 ………なんか緋桜の返事が素っ気なかったような。まぁ、明日学校で会えるから心配ないか……

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