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第29話
(佐々木side)
緋桜くんが家に帰ってから一週間くらいがたった。
それを境に、何故か秋哉の機嫌が日に日に悪くなっていった。
「……秋哉、何かあったのか?」
俺がそう聞くと、秋哉はムスッとする。
「……緋桜に会えない」
「緋桜くんと会えない?学校来てないのか?」
俺は緋桜くんに何かあったのかと心配になった。
「いや、来てはいるみたいだけど、教室に行ってもいないし、クラスのやつに聞いても分からないって言われる」
「学校のどっかには居るんだろ?探せばいいんじゃないか?」
「緋桜の居そうな場所が分からない」
そう言って、秋哉はため息をついた。
「少しは仲良くなれたと思ったんだけどな……」
そう秋哉がぼやく。
………緋桜くんが故意に秋哉を避けてるのか?だとすれば、中々見つからないだろうな。
「お前が気になる場所探せばいいんじゃないか?」
「なにそれ?」
「お前、"俺の勘は当たる"ってよく言ってるだろ?だったら勘を頼りに探せばいいんじゃないか?」
「あ、そうか!」
逆に緋桜くんは運が悪いらしいから、すぐ見つかるだろ。ただ、緋桜くんが故意で秋哉を避けてるとすれば、見つかった瞬間逃げるだろうな。
そう思って、俺はため息をついた。
緋桜くんが何を考えて秋哉を避けてるのかは分からない。多分、秋哉を避ける何かしらの理由がある筈だ。
家に居たときは、緋桜くん自身も秋哉に対して、まんざらではない感じがしたんだけど。
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