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第32話

(佐々木side) 学校から秋哉が事故に遭ったと連絡があった。連絡を受けた俺は病院に急いだ。 「すいません!木崎 秋哉は!?」 受付で秋哉の居場所を聞く。 受付で秋哉の病室を教えてもらうと、俺は急いでそこに向かった。 病室の前に差し掛かると、ちょうど看護師と医者が病室から出てくるところだった。 「すいません、ここ木崎 秋哉の病室ですよね?」 「ええ、そうですよ」 俺が訪ねると看護師の女の人が答えた。 「ご家族の方ですか?」 「はい……あの秋哉の様子は?」 「大丈夫ですよ。傷も軽傷ですし、軽い脳震盪で命には別状ありませんよ」 一緒に居た医者がそう答える。 それを聞いて俺はホッと息を吐いた。 「ただ…………」 医者が何かあるような素振りを見せる。 「一緒に事故に遭われた方……同じ学校の生徒さんだと思うんですけど、怪我はないんですが、事故のショックで気が動転してるみたいで……」 木崎さんの友達ではないかと言われて、俺はその子がいるという病室に案内された。 そこには一人の少年がベッドに座っていた。 「緋桜くん!?」 その子が緋桜くんだと分かると、俺は緋桜くんに駆け寄った。 「緋桜くん!?大丈夫?」 俺がそう声をかけても、緋桜くんから返事は返ってこなかった。 「緋桜くん、大丈夫!?」 そう言っても全く反応がない。 「緋桜くん?」 俺が緋桜くんの顔を覗き込むと、目が虚ろで全くこっちを見ていない。 ただ一点を見つめて、緋桜くんはずっと何かを呟いていた。 「………俺のせいだ………俺が側に居たから……………俺が…………」 耳を澄まして聞いてみても、途切れ途切れで何を言ってるのか分からない。 「緋桜くん!?」 俺は緋桜くんの肩を掴んでもう一度緋桜くんの名前を呼んでみた。それでも反応は無かった。 緋桜くんはその間もずっと何かを呟いている。 辛うじて聞き取れる言葉が『俺のせいで』『俺が居たから』という自分を責める言葉。 ……これは事故のショックとか、そんなんじゃない。 「………先生、これは」 「私は専門ではないので、はっきりしたことは言えませんが、恐らく彼の過去に今回と似たようなことがあったんじゃないでしょうか」 ………似たようなこと。 だとすれば、引き戻すのは難しいかもしれない。

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