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第34話
なんで『今』だったんだろう。
あんな事故なんて、テレビの中でだけだと思ってた。
それがなんで、あの時間にあの場所で起きたんだろう。
……………………俺の、せい?俺が居たから?
普通に生活していて、あんな事故に遭う確率なんてかなり低い。
俺が、その何%かの不運を引き寄せた。
俺が一緒に居たから、俺が側に居なければ拓真は死なずにすんだんじゃないか?
…………………俺が、拓真を殺した。
連絡を聞いて駆け付けた拓真の親が 、拓真を見て泣き叫んでる。
俺はその光景を、ぼんやりと眺めていた。
まだ自分自身、拓真の死を受け入れられなかった。その光景に現実味がなかった。
だから、涙も出てこなかった。
ふと、泣き叫んでいた拓真の親と目があった。
こっちに近付いて来くると思った瞬間、頬に衝撃が走った。
しばらくして、殴られたのだと理解する。
『あんたさえ居なければ!!』
『あんたさえ居なければ、拓真は死なずにすんだのよ!!』
『あんたのせいよ!!この疫病神!!』
『あんたが死ねばよかったの!!』
そう叫んで、拓真の母親がその場で泣き崩れた。
その後、俺たち家族は逃げるように引っ越した。
ただ俺は、あの時拓真の母親に言われた言葉が頭から離れなかった。
怖かった。
俺のせいで人が死ぬことも。
失うことが怖かった。
でも、結局は一緒だった。
傷つけたくなくて、死なせたくなくて離れたのに。
俺はまた、人を死なせてしまった。
あの時の、拓真の母親の言葉が頭の中でこだましている。
『あんたさえ居なければ!!』
………そうだ…俺が居なければ、木崎も死なずにすんだ。
木崎まで居なくなってしまった。
………もう、嫌だ。
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