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第44話

木崎が言った通り、木崎はあれから来なくなった。それどころか姿すら見なくなった。 学園祭が近付くにつれて、回りも慌ただしくなっていった。 俺のクラスも、学園祭で何をするかで盛り上がっていた。 出てくるのは、喫茶店や模擬店、お化け屋敷などありふれたもの。 色々と議論を繰り返した結果、喫茶店をやることになった。 俺はその様子をずっと眺めていた。 「……あの……」 ボーっとその様子を眺めていたら、一人の女子が声を掛けてきた。 今まで声をかけてくる人なんて居なかったから正直驚いた。 「……あの……えっと……」 その女子は顔を赤くして、言いづらそうにモジモジとしている。 俺は何を言われるんだろうと思って、思わず身構えた。 「……あの…迷惑じゃなかったらなんだけど………中村くんにウェイターを頼みたいなって……」 ………ウェイター? 「えっとね、皆のリクエストで、中村くんにって……」 そう言われて俺は周りを見る。 なぜか皆こっちに視線を向けていた。 あぁ、嫌だな……この雰囲気 「………悪いけど」 俺がそう言うと、女子はあからさまにがっかりする。 「…あ……そうだよね……ごめんね」 そう言って、女子は離れていった。 参加するのが嫌なわけじゃない。 でも、俺が参加したら必ずトラブルが起きる。 折角、皆が楽しみにしてるのにそれを邪魔したくない。 木崎に誘われなければ、学園祭自体来る気はなかった。 正直、人が集まるとこは苦手だ。 こういった学校行事はほとんど参加したことがない。 「ねぇ、中村くん」 そんな事を考えていると、再び女子が声を掛けてきた。 今度は違う女子で、4~5人。 俺は一瞬怯んでしまった。 「何とかお願い出来ないかなぁ。一時間、30分でもいいから!」 そう言って女子は自分の顔の前で手を合わせる。 なんでこんな必死なんだ? 参加するつもりはない。そう思ってたのに、女子たちのその気迫に負けて、一日目の30分だけと言うことで約束させられた。 俺が参加することが決まると、女子たちが頑張って衣装を作ると張り切っていた。

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