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第57話
(秋哉side)
最近、緋桜の様子がおかしい。
なにがって言われると困るけど、なんか避けられてる気がする。
かといって、前みたいに逃げるとかじゃない。
誘えば来てくれるし、喋ってもくれる。
でも強いて言えば距離感。いつもなら、隣か一歩後ろを着いてくる感じなのに、俺と緋桜の間が常に人一人分あいている。
今は更に一歩下がってるから、緋桜との距離が遠い。
俺はチラッと緋桜を見た。
緋桜も何か考え事してるみたいだ。
緋桜の事を見ていると、緋桜の顔が一瞬陰った。
「緋桜、どうかした?」
俺は立ち止まって、緋桜の顔を覗き込む。
緋桜と目が合った瞬間、緋桜が息を飲むのが分かった。
「っ!……何でも、ない」
そう言って、緋桜は更に離れた。
「…そう」
………俺、緋桜に何かしたかな?
俺に対して何か怒ってるとか?いやでも、怒ってたらこんな風に着いてこないよな。
俺はうーんと悩む。
まぁいいや、今回の目的はそれじゃない。
俺たちは別館の屋上に着くと、俺は佐々木お手製の弁当を、緋桜は売店で買ったパンを取り出した。
緋桜が取り出した物を見ると、サンドイッチとお茶。
「それだけ?」
そう聞くと、緋桜が俯く。
「これしか売ってなかった」
とボソッと呟いた。
「じゃあこれも食べて」
そう言って、俺は弁当を差し出した。
「え、でもそれは木崎の」
「大丈夫、佐々木が多めに作ってくれたから。それに俺一人じゃ食べきれないから、緋桜も食べてくれると助かる」
そう言うと、緋桜は小さく頷いた。
本当は佐々木が緋桜と一緒にって持たせてくれた弁当。緋桜の分だって言うと、佐々木に申し訳ないって言い出すと思ってそこは言わなかった。
緋桜が俺の弁当に遠慮がちに手を伸ばす。
おかずを一つ取って口に運んだ。
「美味しい?」
そう聞くと、緋桜は頷いた。
「良かった」
弁当はおまけで、本題はここからだ。
「ねぇ緋桜、今度の日曜って暇?」
緋桜に予定がないのは分かってる。
それでも、敢えて聞いてみた。
「日曜日?……これといって予定無いけど」
そう、予想通りの返答が帰ってくる。
「ならその日、一緒に出掛けようか」
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