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第59話
『ねぇ試してみようよ。緋桜の悪運と俺の強運』
木崎が何を言ってるのか、一瞬分からなかった。
「……何、言って…?」
「緋桜は、自分と出掛けたりすると俺が怪我したり、最悪死んだりするかもって思ってるんでしょ?……前にもそういう事あった?」
そう言う木崎に、俺は体が揺れた。
「俺は緋桜の過去に何があったのかは知らないし、無理に聞くつもりもないよ。でも、勘違いをしている緋桜は放っておけない」
「………勘違い?」
「うん、緋桜の過去になにがあったにせよ、それは緋桜のせいじゃない。………って言っても、緋桜は納得しないでしょ?だから、試してみよう」
俺は何も答える事が出来なかった。
結局、俺は丸め込まれて一緒に出掛けることになった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
ー日曜日ー
俺は待ち合わせ場所にした駅の入り口で木崎を待っていた。
「緋桜。ごめん、お待たせ」
しばらくすると、木崎がそう言って駆け寄ってきた。
「………大丈夫」
そう答えると、木崎は何故かじっと見てくる。
「……何?」
そう聞くと、木崎がニコッと笑った。
「緋桜の私服すごい新鮮。緋桜って何気にオシャレだよね」
「……別に」
そう言って笑う木崎に、俺は視線を逸らした。
………オシャレって、木崎の方がオシャレだと思う。
俺はふと周囲に視線を移した。
行き交う人、特に女の人がチラチラと木崎の事を見ている
皆、木崎の事見てる。
やっぱり木崎は目立つんだな…………
そう思ったらため息が出た。
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