61 / 452

第59話

『ねぇ試してみようよ。緋桜の悪運と俺の強運』 木崎が何を言ってるのか、一瞬分からなかった。 「……何、言って…?」 「緋桜は、自分と出掛けたりすると俺が怪我したり、最悪死んだりするかもって思ってるんでしょ?……前にもそういう事あった?」 そう言う木崎に、俺は体が揺れた。 「俺は緋桜の過去に何があったのかは知らないし、無理に聞くつもりもないよ。でも、勘違いをしている緋桜は放っておけない」 「………勘違い?」 「うん、緋桜の過去になにがあったにせよ、それは緋桜のせいじゃない。………って言っても、緋桜は納得しないでしょ?だから、試してみよう」 俺は何も答える事が出来なかった。 結局、俺は丸め込まれて一緒に出掛けることになった。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ ー日曜日ー 俺は待ち合わせ場所にした駅の入り口で木崎を待っていた。 「緋桜。ごめん、お待たせ」 しばらくすると、木崎がそう言って駆け寄ってきた。 「………大丈夫」 そう答えると、木崎は何故かじっと見てくる。 「……何?」 そう聞くと、木崎がニコッと笑った。 「緋桜の私服すごい新鮮。緋桜って何気にオシャレだよね」 「……別に」 そう言って笑う木崎に、俺は視線を逸らした。 ………オシャレって、木崎の方がオシャレだと思う。 俺はふと周囲に視線を移した。 行き交う人、特に女の人がチラチラと木崎の事を見ている 皆、木崎の事見てる。 やっぱり木崎は目立つんだな………… そう思ったらため息が出た。

ともだちにシェアしよう!