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第60話

(秋哉side) ほぼ丸め込む形で取り付けた緋桜とのお出掛け。 緋桜はちゃんと来てくれるかな。 そう思いながら、俺は待ち合わせ場所の駅に向かった。 待ち合わせ場に近付くと、すぐに緋桜を見つけた。 緋桜は人を避けて、隅の方で待っていた。 それでも緋桜は注目を集めていた。 外に出ると、余計に分かる。 ………やっぱり緋桜は人目を引くんだな。 そう思って見ていると、 『おい、あそこにいる奴、めっちゃ美人じゃね?』 『どれ!?……って、あれ男だろ』 『男でも、あんなけ美人ならいけんじゃない』 『アハハ!お前、飢えすぎ!』 周囲からそんな会話が聞こえてきた。 俺はそう話してる奴等を睨み付けて、緋桜の元に急いだ。 緋桜は良くも悪くも、人を惹き付ける。 本人が無自覚なのが厄介だ。 「ごめん緋桜、待たせた」 そう声を掛けると緋桜は一瞬ホッとしたような顔をして、次にはムスッとした顔をした。 「………大丈夫」 ムスッとした顔のまま緋桜は言う。 俺はそんな緋桜に笑い掛けた。 「緋桜の私服すごい新鮮。緋桜って何気にオシャレだよね」 「……別に」 そう言って、緋桜は少し頬を赤らめて視線を逸らした。 ーッ!ヤバい、めっちゃ可愛い! 緋桜の可愛さに悶えてると、緋桜が服の裾を掴んできた。 緋桜に視線を向けると、緋桜は俺の陰に隠れるように俯いていた。 「緋桜?」 「…………お前、目立ってる」 緋桜にそう言われて、秋哉は回りに視線を移す。 すれ違う人がチラチラとこっちを見ていた。 緋桜はそれが嫌みたいだ。 俺は後ろに隠れる緋桜見て、思わず笑ってしまった。 「じゃあ、行こうか」

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