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第70話

(秋哉side) 緋桜の寝顔を眺めていると、またドアがノックされた。 見ると、佐々木が顔を覗かせて俺を呼ぶ。 俺はそれに従って部屋を出た 。 「ほら」 そう言って、佐々木は一枚の書類を渡してくる。 「以外に早かったね」 「名前が分かってるんだ、簡単だろ」 それよりと佐々木は続けた。 「ここ見ろ」 そう言って、佐々木は書類の一部分を指差した。 「あ…」 「もうすぐだろ?」 俺は笑った。 「すごいタイミング。やっぱり俺ってついてるな 。佐々木、この日頼む」 「分かった。でも、こんなことして緋桜くん怒らないか?」 「怒るだろうね。でも、緋桜が区切りを着けるためにはこれがいい方法だと思うから。何時までも、緋桜が囚われてる必要はない」 「緋桜くんに嫌われるかもよ?」 「そうなったら、また努力するさ」 そう言うと、佐々木はフッと笑った。 「ところで、連れていくにしても素直には着いてこないと思うぞ?どうやって連れ出すんだ?」 「何も言わない」 「は?」 そう言う俺に、佐々木は驚いた顔をする。 「一緒に出掛けるって言えば、着いてきてくれると思うから」 そう言うと、佐々木は小さくため息をついた。 「問題があるとすれば日にちだろうね……… 今日の外出ですら嫌がったくらいだから、もしかすると当日はもっと嫌がるかも」 「どうするんだ?」 そう聞いてくる佐々木に、俺は笑った。

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