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第72話
木崎の話を聞くのが怖い。何を言われるのか………
秋哉が口を開くのが分かると、俺は目をぎゅっと瞑った。
その瞬間、クスクスと笑い声が聞こえてきた。
ゆっくりと目を開けると、秋哉がクスクスと笑っていた。
俺は木崎が何で笑ってるのか分からなくて、ポカンとしてしまう。
「……ごめん、緋桜が余りにも聞きたくないって顔に出すから」
そう言って木崎は笑い続ける。
俺はそんな木崎に少しムッとしてしまった。
「ごめんごめん、そんなに深刻な話じゃないよ。今度の祝日、一緒に出掛けようって言いたかったの」
「………今度の、祝日…?」
「そ、今度は佐々木に連れてって貰うから、緋桜も気を使わなくていいと思うし、ちょっと遠出してさ」
…………離れたいって話じゃなかったんだ。
そう思って、俺はホッと息を吐いた。
でも…今度の祝日は……………
「……その日は無理だ」
「何か予定あった?」
「そういうわけじゃ…………」
「なら、今日のリベンジってことでさぁ」
俺は何も答える事が出来なかった。
「緋桜、無理かな?」
そう言って、木崎が覗き込んでくる。
出来れば、その日は出掛けたくなかった。
だってその日は………………
「緋桜?」
断り切れなかった。木崎と出掛けたいという気持ちもどこかにあった。
「…………………分かった」
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