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第74話
(秋哉side)
「おはよう、緋桜」
「…………はよ」
俺が挨拶をすると、緋桜も挨拶仕返しくれた。
俺たちは、佐々木が車を持ってくるのを家の門のところで待っていた。
祝日
今日は緋桜と約束してた日だ。
緋桜を見ると、緋桜の表情は明らかに曇っていた。
目の下の隈も目立つ。
ここ2,3日で日に日にひどくなっていくから、周りから心配する声も聞いた。
俺はスッと緋桜の目の下に触れた。
緋桜は一瞬引いたけど、触れるのは許してくれた。
「ちゃんと寝てる?」
「…………大丈夫」
緋桜はそう言うけど、眠れてないんだと思う。
「……今日はどこに行くんだ?」
「ん、秘密」
そう言って、俺は唇に人指し指を当てた。
「着いてからのお楽しみだよ」
そう言うと、その後緋桜から行き先を聞いてくることはなかった。
しばらく待ってると、佐々木が車で戻ってきた。
「お待たせしました、二人とも乗ってください」
車から降りて、後部座席のドアを開けながら言う。
後部座席のドアしか開けないのは、今日は緋桜の隣に乗れという佐々木の意思表示。
俺はそれに従って先に乗り込む。
緋桜もそれに続いた。
「おはよう、緋桜くん」
緋桜が車に乗り込もうとした時に、佐々木は緋桜は声を掛けてニコッと笑う。
「あ、おはようございます」
佐々木からの挨拶に返事をすると、緋桜も車に乗り込んだ。
佐々木も運転席に乗り込んで、エンジンをかける。
「じゃあ、行きますよ」
佐々木はそう言って、バックミラー越しに俺たちを確認した。
その視線は俺に向いていて、ミラー越しで目が合う。
「頼む」
俺がそう言うと、佐々木は頷いた。
「緋桜くん、少し遠出になるから寝ても大丈夫だよ」
佐々木は緋桜に視線を向けて、少し眠そうにしていた緋桜に声を掛けた。
「…………ありがとうございます」
そう言う緋桜に微笑んで、佐々木は車を走らせた。
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