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第78話
(秋哉side)
俺は走って逃げた緋桜をすぐさま追い掛けた。
緋桜との体力差もあって、霊園の入り口のところで緋桜に追い付いた。
「緋桜、待って!!」
俺は逃げようとする緋桜の腕を掴んで止める。
「いやだ!!離せ!!」
そう言って、緋桜は暴れた。
「緋桜、落ち着いて!」
「いやだ!!」
秋哉は暴れる緋桜をきつく抱き締めた。
「緋桜!!」
「いやだ……俺にはここに来る資格がない」
抱き締めたことで抵抗をしなくなった緋桜が、今度は泣き出してしまった。
「俺が奪ったんだ………拓真の命も………人生も……」
「緋桜、それは違う!」
「違わない!!俺のせいで拓真は…………」
そう言って、緋桜は涙を流す。
ここに連れてこれば、緋桜にとって区切りになると思った。
緋桜が嫌がることは予測はしていた。ただ、ここまで頑なだとは思わなかった。
それほど緋桜の心の傷は深い。
俺はそれを見誤まった。
「ごめん………ごめん緋桜」
そう言って、俺は緋桜を抱き締める腕に力を入れた。
「今日は帰ろう」
俺がそう言うと、緋桜は小さく頷いた。
俺は緋桜が落ち着くのを待ってから車に戻った。
「緋桜くん、大丈夫?」
車で待っていた佐々木が緋桜に声を掛ける。
「…………すいません、迷惑かけてしまって………」
「いや、迷惑なんて思ってないよ」
そう言って、佐々木はニコッと笑う。
佐々木は緋桜を見て、緋桜が泣いたことに気付く。
佐々木は緋桜の後ろに居た俺に視線を移した。
俺は佐々木の視線に気付いて首を振った。
「今日は帰ろう」
俺がそう言うと、佐々木は察したように頷いた。
「……分かりました」
乗ってくださいと言って、佐々木は車のドアを開ける。
「さあ、緋桜乗って」
俺は促すように緋桜の背中を押した。
緋桜はそれに従って車に乗り込もうとした。
「緋桜くん!?」
緋桜が車に乗り込もうとした時、後ろからそう女性の声がした。
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