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第84話

(秋哉side) なんでだ、なんで緋桜は俺の前から居なくなる。 こんなに探してもいない。 少しは心を開いてくれてると思ってた。 それは俺の自惚れだったのか。 俺は思い当たるところをくまなく探した。 それでも緋桜の姿はなかった。 学校には来てると、緋桜のクラスの連中に聞いた。 学校のどこかにはいるはずなんだ。 どこにいるんだ、緋桜!! 俺は休み時間の度にいろんな所を探した。 緋桜が姿を消すのは今回に始まったことじゃない。 前にも何度かあった。 何も言わず、突然姿を消す。 なんで何も言ってくれない。 俺は緋桜に会えなくて、いつになくイライラしていた。 裏庭を歩いていると、ふと二階の窓越しに緋桜がいた気がした。 俺は慌てて、校舎の二階に急いだ。 そこにいたのは緋桜じゃなく、佐倉先輩だった。 「佐倉先輩!!緋桜、見ませんでした?」 そう聞くと、佐倉先輩は一瞬動揺したように見えた。 「いや、見てない」 そう言う先輩は嘘をついてるんじゃないかと思ったけど、俺でも佐倉先輩の本心を見抜くのは無理だ。この人は本心を隠すのが上手すぎるから、実際何を考えているのか分からない。 「……そう、ですか」 俺は体の力が一気に抜けた。 なんで見つからない?俺はなにか嫌われるような事を緋桜にしてたのか? 「ところでさ、なんで中村は秋哉から逃げてんだ?」 「分かりませんよ、そんなの俺が知りたい」 そう言って、俺は思わず声を上げてしまった。 「まぁ、取り敢えず落ち着けって。焦っても仕方ないのは分かるだろ?」 そう言って先輩がポンと肩に手を置いてきた。

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