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第93話
その後俺たちは早々に学校を出た。
向かったのは、木崎の家。
………なんか最近、木崎の家に行くのが当たり前になってるような気がする。
「あ、秋哉さん、おかえりなさい」
木崎の家に着くと、佐々木さんが出迎えた。
「あぁ、ただいま」
「あれ、緋桜くんも一緒だったんですね」
俺に気付いた佐々木さんがニコッと笑う。
俺はそんな佐々木さんに頭をさげて答えた。
「緋桜、俺の部屋行って待ってて。俺ちょっと佐々木と話あるから」
「………分かった」
そう言って、俺は先に木崎の部屋に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
(秋哉side)
「……で?話って何ですか?」
「俺、緋桜に告白した」
「そうですか」
「あまり驚いてないな」
「お互いが好きなのは見てて分かりましたから。こちらからしてみれば "やっと" って感じですけどね」
そう言って、佐々木はクスッと笑う。
「え、ちょっと待て!?じゃあ、お前は緋桜が俺のこと好きだって気付いてたのか?」
「はい。て言うか、気付いてなかったのは秋哉さんくらいですよ」
そう言う佐々木に、俺は開いた口が塞がらなかった。
「え!?緋桜ってそんな素振りみせてた!?」
「………秋哉さん………」
佐々木は呆れてため息をつく。
「鈍いにも程がありますよ。考えて見てください、今まで緋桜くんが自分から誰かに話し掛けてる所を見たことがありますか?緋桜くんが誰かに触れられるのを許してる所を見たことがありますか?」
「…………いや、ない」
「秋哉さんに対してはどうですか?」
………俺に対して?
今までも緋桜は普通に喋ってくれるし、触れても大丈夫だな。
てか今日、緋桜のこと抱き締めたし……
…………あれ?それを許されてたのは俺だけ?
よく考えてみれば、緋桜は相手が話しかけてくれば話すけど、そうじゃなければ決して自分から話し掛けない。
触られるのは完全に拒絶される。今日の佐倉先輩みたいに。
俺だけが許されてた。
そう思うと、嬉しくて堪らなかった。
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