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第94話

(秋哉side) 部屋に行くと、緋桜はソファに座って待っていた。 「佐々木さんとの話、終わったのか?」 俺に気付いた緋桜がそう聞いてくる。 「うん、そう大した話じゃないし」 「……そうか」 俺は何気なしに緋桜の隣に座った。 そうすると、緋桜は少しだけ反対側へずれた。 ……あ、離れた。 俺は緋桜に少し寄ってみる。 すると、緋桜はまた少しだけ横にずれた。 緋桜の顔を見ると、少し赤らんでいる。 ………これは、意識されてる? なんで気付かなかったんだろう。 ちゃんと見れば、緋桜は全身で俺を意識してる。 それを佐々木に言われるまで気付かなかったなんてな。 ………やばいな、嬉しくて仕方ない。 俺は口を押さえて、ニヤけそうになるのを堪えた。 あれ、そういえば………… 「ねぇ、緋桜。緋桜っていつから俺が好きだったの?」 「っ!な、なんでそんなこと聞くんだ!?」 そう言って緋桜は慌て出す。 「ん?なんとなく」 「いつだっていいだろ」 そう言って、緋桜は顔を背けた。 「教えてくれてもいいじゃないか」 そう言って俺は、緋桜に詰め寄った。 緋桜は詰め寄る俺から逃げるように後ろに下がる。 「なんで逃げるの?」 「お前が寄ってくるから……」 そう言って緋桜は少し困ったような顔をした。 あぁ、本当やばいな。緋桜が可愛すぎる。 この困ったような、戸惑ってるような顔が堪らない。ますます意地悪をしてみたくなる。 ちょっと楽しくなってきた俺は、少し強引に緋桜に迫った。 そうやって詰め寄っていくと、緋桜がソファの肘置きに詰まって倒れそうになった。 俺は倒れそうになる緋桜を慌てて支えた。 支えられた事にホッと息を吐いてふと下を見ると、頬を赤らめて困惑した表情で見上げてくる緋桜がいた。 ほとんど無意識だった、俺は緋桜の唇に口付けた。 触れる程度のキス。 我に返って緋桜を見ると緋桜は固まっていて、俺も一瞬固まった。 俺は何してるんだ!? そんな事を考えながら緋桜を見ると、自分が何をされたのか理解出来てないのか、ぽかんとしている。 その後ゆっくりと自分の唇に触れた。 漸く理解したのか、緋桜の顔がどんどん赤くなる。 あぁ、本当まずいな。 ちょっと、止まらないかも…… 「……緋桜、嫌だったら言って」 そう言って俺はもう一度緋桜にキスをした。 また触れる程度のキスをすると、緋桜の体がビクッと跳ねる。 反応が可愛い。 そう思って、俺はもう一度唇を重ねる。 ギュッとつぐんでいる緋桜の唇を舌でなぞると少しだけ開いた。 俺はその隙に、緋桜の口内に舌を滑り込ませた。 「…んっ」 舌を使って、緋桜の口内をまさぐっていく。 「…ふっ……んっ…」 緋桜から漏れる声が、俺を更に夢中にさせた。 唇を離すと、緋桜はハァハァと荒い呼吸を繰り返している。 苦しさからか、緋桜の目には涙が溜まっていた。 「緋桜」 そっと緋桜の頬に触れると、緋桜がピクッと反応する。 俺はため息をついて、緋桜の肩に顔を埋めた。 「…木崎……?」 あぁ、本当やばいなぁ。 「俺、緋桜に触りたい」

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