98 / 452
第95話
(秋哉side)
「俺、緋桜に触りたい」
「……え…?」
「え!?」
え、あれ!?俺、いま何て言った!?
なんか、とんでもないこと言ったような気がするんだけど。
そう思ってチラッと緋桜を見ると緋桜は少し困惑したような顔をしていた。
「ご、ごめん緋桜!さっきのは気にしなくていいから」
そう言って、俺は慌てて緋桜の上から退いた。
………やばいなぁ、緋桜とキス出来たことで舞い上がってる。
危うく暴走するとこだった。
……確かに緋桜とそういう事はしたいと思うけど、緋桜はその行為自体トラウマになってる。
無理して緋桜を怖がらせたくない。
…かといって、俺が我慢できるかな。
緋桜の場合、無自覚で煽ってきそうだから。
そんな事を考えていると、服の裾を引っ張られた。
そ見ると、緋桜が俺の服の裾を掴んでいた。
目の前にいる緋桜は頬を赤らめて、目を伏し目がちにしている。
「さ、触りたいなら………触って、いい………」
それだけ言って、緋桜は俯いてしまった。
ほらぁ!!早速、爆弾落としてきた!!
緋桜の事だから、そういう意味じゃないって分かってるけど………
そう思って、俺はため息をついた。
「緋桜、そんな事言うと襲っちゃうよ」
そう言って、俺はちょんと緋桜の唇に触れた。
そうすると、緋桜が息を飲むのが分かった
「……ぁ……えっと………」
『襲う』の意味が分かったらしく、緋桜が少し焦りだす。
やっぱり、そういう行為には嫌悪感があるようだ。
「冗談だよ、気にしないで」
そう言って俺は緋桜に笑い掛けた。
「…………木崎は……」
緋桜がボソッと何か呟く。
「え?」
「…木崎は……その……俺と、そういうこと………したいのか?」
『俺とそういう事したいのか?』
確かにそう聞いてきた。
緋桜を見ると、不安そうに見詰めてくる。
『そういう事したいのか?』
そんなの当然…
「したいよ」
俺がそう言うと、緋桜は顔をしかめた。
やっぱり怖いんだろうな。
「したいけど、今はしない」
「え?」
「緋桜が平気になったときでいいから。俺、それまで待つし」
そう言って俺は笑い掛ける。
俺がそう言うと、緋桜は俯いてしまった。
正直、緋桜が何を考えてるのか分からない。
………これ以上は、爆弾を落として欲しくないんだけど。
『しない』とは言ったけど、これ以上煽られると、俺も我慢出来なくなる。
「……木崎が………したいなら……して、いいよ」
緋桜は俯いたまま呟いた。
その声は小さかったけどしっかり聞こえていて、俺は目を見開いた。
「……緋桜、それ意味分かって言ってる?」
俺がそう言うと、緋桜は小さく頷いた。
あぁ、本当に………
まさか、ここまで煽られるとは思わなかった 。
実際のところ、緋桜がどう思ってるか分からない。
本当にいいのか、緋桜が無理してるのか分からない。
緋桜が無理してるとしたら、そんなことさせたくないけど…
ここまで煽られると、俺も我慢が出来ない。
「本当にいいの?」
そう聞くと、緋桜はまた小さく頷く。
俺は堪らず、緋桜を押し倒した。
ともだちにシェアしよう!