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第98話
俺は、流れで木崎の家に泊まることになった。
………どうしよう、落ち着かない。
木崎の部屋に泊まるのは初めてじゃないし、木崎のベッドはキングサイズだから二人で寝ても問題ない。
今までだったら平気だったかも知れないけど……今は………
「緋桜!」
突然木崎に呼ばれて、驚いて体がビクッと跳ねる。
「…なに?」
「……いや、風呂入れば」
「…あぁ」
木崎にそう言われて、俺はお風呂場に向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
緋桜が風呂場に入った途端、俺はため息をついた。
あそこまで、分かりやすく意識されるとなぁ。
しかも佐々木が俺の部屋にって言い出すもんだから。
緋桜が平気になるまで待つとは言ったけど…………俺、我慢出来るかな。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
………本当にどうしよう?
今からでも違う部屋に変えてもらう?
いや、それじゃあ迷惑が掛かる
俺は頭からシャワーを浴びながら悩んでいた。
ため息をつきながら、俺はその場にしゃがみこんでしまう。
…………さっきのは、あからさま過ぎたかな?
あれじゃ俺がめちゃくちゃ意識してるって言ってるようなものじゃないか。あぁ、本当どうしよう。
俺はそう思って、顔を手で覆ってまたため息をついた。
別に、木崎に触れられるのは嫌じゃない。
寧ろ、触れて欲しいと思うときもある。
でも、そういう行為はまた別だ。
相手が木崎でも、やっぱり怖い。
やりたくないのに触って欲しいと思うのはむしがよすぎる話だ。
………木崎は俺が平気になってからって言ったけど、我慢、してるよな……?
俺はゴンと壁に頭を着けながら、そんな事を考えていた。
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