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第107話

先輩に近付かれるのが怖くて逃げてしまった。 俺は教室につくと、さっきの自分の行動を後悔した。 昼になったら秋哉に謝ろう。 そう思った。 昼休みになって秋哉の所に行こうとしたら、放送で生徒会室に呼び出された。 何だろうと思いながら俺は生徒会室に向かった。 秋哉も教室に居なかったから、多分生徒会室に居るんだろうと思う。 生徒会室の前に来ると、ドアの前で深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。 秋哉はともかく、多分あの3人もいる。 あの3人はどうも苦手だ。出来れば関わりたくないんだけどな。 そう思いながら俺は恐る恐る生徒会室のドアを開けた。 少しだけドアを開けて中の様子を伺った。 その瞬間、ドアが勢いよく開いた。 「中村くん、待ってたわよ」 いきなりドアが開いたかと思ったら目の前に宮藤先輩が立っていた。 突然のことで俺は思わず固まってしまう。 「中村くん!さぁ入って!」 そう言ってニコッと笑う宮藤先輩が俺の腕を掴んできた。 「ッ!」 掴まれた瞬間、ゾワッとした感覚に襲われて俺はその手を振り払ってしまった。 ハッとして先輩の顔を見ると、先輩は変わらずニコッと笑っていた。 「あっそっか。そうだよね、ごめんね」 そう言って先輩は顔の前で手を合わせて謝ってくる。 どうして先輩が謝るのか分からない。 それにしてもこの先輩、距離が近すぎる。 「おーい、いつまで入り口でごちゃごちゃやってんだ?」 そんな事をしていると中から痺れを切らした佐倉先輩の声がした。 佐倉先輩に宮藤先輩が謝りながら駆け寄っていく。 覗くと中には日向先輩と秋哉もいた。

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