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第109話

俺が書記に任命されて一週間が経った。 仕事の内容がまだ分からない俺は、もっぱら資料のコピーとか書類整理とかの雑用がメインだった。 生徒会に入ってみて分かったことは、普段でもかなり忙しい。 学校中の備品の管理、月の行事計画の作成、年間の行事の作成、教師への報告書の作成、毎日の放課後の見回りなんかを4人で回してる。 これで行事なんて入ってきたら、これこそ休む暇さえないんじゃないかと思う。 そういえば、学園祭のときに秋哉が忙しくて会えないって言ってたのを思い出した。 3人の先輩はよく話し掛けてくる。 秋哉がどこまで話してるのかは分からないけど、3人とも俺に触れてこようとはしない。 でも触れては来ないけど、何かと距離が近いのが気になる。 俺が引くと、あの人たちは更に寄ってくる。 もともと、秋哉以外の人とここまで一緒にいることがないから正直疲れる。 そう思って俺はため息をついた。 「疲れた?」 ため息をついた俺に気づいてか、秋哉がそう聞いてきた。 俺たちは、生徒会の仕事を終わらせて帰る途中だった。 「少しだけ……まだ慣れないから」 俺がそう言うと、秋哉は少し笑う。 「緋桜は今まであまり人と関わりを持ってこなかったからね」 「あの人たち距離近い」 そう言うと、秋哉はクスクス笑う。 「あの人たちも緋桜と仲良くなりたいんだよ」 『気長に行こう』と秋哉は言う。 俺はそれに小さく頷いた。 「兄さん」 そんな時、俺は居るはずのない人に呼ばれた。 「……緋、方?」 「兄さん、良かった会えた」 そう言って緋方は笑顔で駆け寄ってくる。 「なんで、ここに……?」 「兄さんに会いに来たんだよ。兄さん、家を出てから帰って来ないから」 そう言って緋方はニッコリと笑った。

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