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第122話

(秋哉side) 「…嫌だったら言って」 そう言って、俺は緋桜に触れた。 今の緋桜とやるつもりはなかったから、薬が抜けるまでと自分に言い聞かせる。 最初は嫌がってた緋桜も快感に抗えないのか、徐々に抵抗が弱くなっていった。 「緋桜、大丈夫?」 数回抜いたところで緋桜はぐったりとする。 直接薬を入れられたことで、緋桜はかなり敏感になっていた。 最初の方は少し触っただけでイってしまう程だった。 「どう?少しは落ち着いた?」 そう聞くと、緋桜はポヤンとした目で見てくる。 さすがに、これ以上は俺がキツい。 緋桜の、こんな官能的な姿を見せつけられてよく理性が保ってるなと自分でも思う。 でも、それも限界だった。 「緋桜、もう眠っていいよ」 そう言って俺は緋桜の頭を撫でた。 緋桜が眠ったら俺も処理しなきゃな。 その後は緋桜を風呂に入れて……… そんな事を考えていると、緋桜がモソモソと動き出す。 「緋桜?」 どうしたのかと思って様子を伺っていると、緋桜がじっと見てきた。 「……最後まで……しないの?」 『最後までしないの?』と言う緋桜の言葉に、俺は驚いた。 緋桜がその気になってたのは分かってたけど、そこまで許してるとは思わなかった。 「……いや、でも…」 「……大丈夫。秋哉に、してほしい」 そう言って見つめてくる緋桜に、俺は正直返答に困った。 本当にしてもいいのか。 返答に困っていると、緋桜のスッと視線を反らせる。 「………やっぱり…いや?」 緋桜は俯き気味に何かをボソッと呟く。 「…え?」 「……俺、他の人に…抱かれたこと……あるし…人に、触られるのダメだから……だから……秋哉も……俺に触るの、イヤに…………」 緋桜の顔は見えない。 でも、その目元から何か雫が落ちたような気がした。 俺はそんな緋桜の言葉を遮るように抱き締めた。 「嫌だなんて、これっぽっちも思ったことない!」 緋桜から少し離れて顔を見ると、緋桜は驚いたような顔をしている。 その目からは涙が流れていた。 「俺が、どれだけ我慢してたと思ってるんだ。緋桜に触れたくて仕方ないのに、緋桜が怖がるから俺は……」 そこまで言って、俺は我にかえる。 緋桜から離れてベッドの縁に移動した。 待つって決めてたのに。 こんなこと言うつもりじゃなかったのに。 そんなこと考えてると、緋桜が俺の服を掴んできた。 緋桜を見ると、その目からボロボロと涙を流す。 「……ごめん。秋哉が我慢してるって分かってたのに、こんな…… 正直、今でもそういう行為は怖い。でも、もう嫌なんだ」 そう言うと緋桜は俺を見る。 「秋哉に、もっと触れて欲しい。もっと、秋哉が欲しい」 そう言って涙は流す緋桜の姿は、俺の理性を壊すには十分なものだった。

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