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第125話

(秋哉side) 緋桜にキスをすると、トンと軽く胸を叩かれる。 唇を離して緋桜を見ると、緋桜は真っ直ぐ俺を見ていた。 緋桜が俺を見てくれたことにホッと息を吐いた。 「……緋桜、大丈夫?」 そう聞くと緋桜はコクンと頷く。 「ごめん、急ぎすぎた。今日はもうやめよう」 そう言って俺は、気持ちを落ち着かせるために息を吐いて緋桜から離れようとした。 その瞬間、緋桜が俺の腕を掴む。 「やだ…大丈夫だから……」 そう言って緋桜は首を振る。 「でも……」 正直、どうして緋桜がここまで俺に抱かれたがるのか分からなかった。 俺だって緋桜に触れたいし、抱きたい。 でも怖がってる緋桜を無理にどうにかしようとは思ってない。 そんな事を考えていると、緋桜がすり寄ってきた。 「……ごめん、やっぱり俺はこういうことが怖い」 緋桜がそう呟く。 「だったら………」 「でも」 『だったら無理することない』そう言おうとして緋桜に遮られた。 「……それでも……俺は、秋哉と一つになりたい」 そう言って緋桜はポロポロと涙を流す。 「……いいの?この先は本当に止めてあげられないよ?」 そう聞くと、緋桜は小さく頷いた。 緋桜が俺の首に手を回してくる。 「………お願い…俺を、秋哉のものにして…………」

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