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第128話

(秋哉side) 今朝、緋桜が熱を出した。 原因は精神的、肉体的疲労によるもの。 俺が看病すると言ったら、佐々木に学校に行けと追い出された。 渋々学校に行ったは良いけど、当然授業になんて集中出来るわけがない。 何かあったら直ぐに連絡すると佐々木が言ってたから、それが気になって何度も携帯を見る。 そのせいか、やたらと時間が経つのが遅かった。 やっと授業が終わったと思ったら、緋桜が来てない事を知った先輩たちに緋桜はどうしたのかと問い詰められた。 先輩たちには熱を出したとだけ伝えておいた。 俺が何か隠してることは気付いてたみたいだけど、先輩たちがそれ以上聞いてくることはなかった。 まだ生徒会の仕事が残ってたけど、先輩たちが帰っていいって言ってくれたから俺は急いで家に帰った。 普段なら佐々木に迎えに来てもらうけど、今佐々木には緋桜の看病を任せてるから呼び出せない。 俺は久々に徒歩で家に帰った。 気が競ってるせいか、段々と歩調が早くなる。 最終的には走っていた。 「ただいま!!」 勢い良く玄関に入ると、たまたまそこにいた佐々木が驚いた顔をする。 「秋哉さん!?…早かったですね」 「…っ…緋桜、は?」 走ったせいで息が切れる。 「今は眠ってますよ」 俺が急いで帰ってきたのは一目瞭然で、その様子に佐々木が少し呆れ気味に答えた。 『少し落ち着いてください』と言って佐々木にコップに入った水を渡される。 俺はそれを飲み干して息をついた。 「…あの、秋哉さん」 呼ばれて見ると、佐々木は少し強い眼差しで見てくる。 「少し、お話良いですか?」 そう言う佐々木に、俺は首を傾げた。 様子を見るために緋桜の顔を覗くと、眠ってるのか目は閉じられている。 俺は緋桜を起こさないようにそっと横に座ると、緋桜の額に手を置いた。 ……熱いな。 それでも今朝よりは下がってるみたいで俺はホッと息を吐いた。 佐々木が緋桜が触らせてくれたと言っていた。 佐々木は緋桜を怖がらせないように寝てる間に冷却シートを換えたりしていた。 気を付けてはいたみたいだけど、それでも色々触られたら起きてしまう。 嫌がられることを覚悟したけど、緋桜からの反応は『お礼』と『お詫び』だったらしい。 思いがけない反応に佐々木も戸惑って俺に報告してきた。 熱で朦朧としての反応なのか、緋桜の中で何か変化があったのか。 それでも、緋桜の対人恐怖症が少しでも改善されれば良いと思う。 そんな事を思いながら緋桜の髪を触っていると緋桜の目が開く。 「……秋哉……?」 「ごめん、起こしちゃった?」 俺がそう言うと緋桜は小さく首を振る。 「調子はどう?」 「…大丈夫、朝よりは楽」 「なら良かった」 そう言って緋桜の頬に触れると緋桜が俺の手にすり寄ってきた。 「…秋哉の手、冷たくて気持ちいい」 そう言って緋桜は俺の手に自分の手を重ねて目を閉じる。 っっかっ!!!! かわいいっ!! 「……秋哉?」 あまりの可愛さに悶えてると、緋桜が不思議そうな目で見てくる。 俺は咳払いをして何でもない風を装った。 「まだ熱があるからもう少し寝てな?」 そう言って緋桜の頭を撫でる。 「……ぁ…」 頭を撫でてると緋桜が何か言いたげに見てきた。 俺はその様子にクスッと笑う。 「大丈夫、ずっとここにいるから」 そう言って俺は、緋桜の額にキスを落とした。

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