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第134話
(秋哉side)
緋桜も元気になって、俺たちは学校に来ていた。
放課後の生徒会室。
緋桜は机に俯せていた。
「緋桜、大丈夫?」
そう聞くと、緋桜は体勢はそのままで顔だけをこっちに向けて俺を見る。
「……大丈夫」
そう言って緋桜はまた顔の位置を変えた。
授業が終わって緋桜を教室まで迎えに行くと、今と同じ状態で机に俯せていた。
また具合が悪くなったのかと思って心配したけど、ただ疲れただけだったようで安心した。
話を聞くと、何故か今日はやたらとクラスの人に話しかけられたらしい。
ちょっとだけ対応したら、馴れないせいかかなり疲れたらしい。
休み時間に緋桜の教室行けば良かったかな。
そうすればフォローも出来たんだけど……
こういう時は同じクラスなら良かったなって思う。
そう思いながら、俺は俯せている緋桜を眺めていた。
いつもの緋桜だったら、近寄るな、話しかけるなオーラが出てるからクラスメイトもあまり寄っては来ない。
でも今日はやたらと寄ってきたみたいだから、それが和らいでるのか。
俺たちが生徒会室に来てどれくらい経ったのか、外からなんか話し声が聞こえてきた。
来たかと思って俺は生徒会室のドアに向かう。
緋桜も誰が来たのか気付いたみたいで、小さくため息をついていた。
ドアを開けて廊下を見ると、少し離れた所に3人の人影が見える。
相手も俺に気付いたようで大きな声で呼ばれた。
「声が大きいです。生徒会室まで聞こえてましたよ」
そう言うと佐倉先輩が『悪い悪い』と言って謝って来るけど、その顔は笑ってるからあまり悪いとは思ってないようだ。
「秋哉くん、今日は来てたのね」
宮藤先輩がにこやかに言う。
「緋桜も来てますよ」
俺がそう言うと、3人の顔がパァと明るくなって、俺を押し退けて生徒会室に入って行った。
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