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第138話
(秋哉side)
帰りは久しぶりに緋桜と二人で歩いて帰った。
最近は何かと佐々木を呼んでたからな。
そんな事を思ってると、ふと隣を歩いてる緋桜の手に目が止まった。
………誰もいないし、手つないだら嫌がるかな。
そう思って、俺は緋桜の手に触れた。
その瞬間緋桜の体がビクッと揺れて、驚いた顔で俺を見る。
手を離さないでいると、俺の考えてる事が分かったのか、緋桜はフイッと顔を背けた後、俺の手をギュッと握ってきた。
俺もまさか握り返してくれるとは思わなくて少し驚いた。
その時の緋桜の顔は耳まで真っ赤だった。
手をつないだまましばらく歩く。
「ねぇ緋桜、どこか遊びに行こうか」
「え?」
「今度の休みにでもさ。どっか二人で遊びに行こ?」
俺がそう言うと、緋桜は頷いた。
「緋桜はどこ行きたい?」
「…秋哉の行きたいとこでいい」
そういうとこは変わってないんだなと思う。
「じゃあ、また隣街に行こうか。前みたいに電車に乗ってさ」
俺がそう言うと、緋桜の顔が曇る。
「…ぁ…俺は……」
「まだ怖い?」
そう聞くと、緋桜は黙ってしまった。
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