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第139話

秋哉がまた隣街に行こうと言い出した。 秋哉と出掛けられるのは嬉しい。 俺も秋哉と出掛けたい。 でもやっぱり二人で、しかも街に出掛けるのは怖い。 大丈夫だって、あんなこと滅多に起きない。 そんな事は分かってる。 それでも、あの時の事が忘れられない。 あの時の光景が頭から離れない。 秋哉が居なくなったら、俺は生きてはいけないと思う。 「緋桜、やっぱり嫌?」 家に帰ってからも返事が出来ない俺に、秋哉が少し寂しそうな顔で聞いてくる。 嫌じゃない。 嫌なわけがない。 「……秋哉と出掛けるのが嫌なわけじゃない、でも………」 秋哉はそう言って俯く俺の頭に手を置く。 「分かった。街に出るのは緋桜が平気になってからにしよう」 秋哉はそう言ってポンポンと頭を叩いた。 「……ごめん」 俺が謝ると、秋哉は『大丈夫』と言ってくれた。 「じゃあ今度の休みはどうしようか。緋桜、行ってみたいとこある?」 「……行ってみたいところ?」 秋哉に行きたいところを聞かれて考える。 俺はあまり遊びに行くってしたことがないから、よく分からない。 「どこでもいいよ。緋桜が気になってる場所とか」 そう聞かれてもう一度考える。 前から気になってる場所はあった。 子供っぽいとか言われるかな。 「……ゲームセンター」

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