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第141話
(秋哉side)
俺と緋桜は次の休み、約束通りゲームセンターに来ていた。
電車とかは緋桜が嫌がるから、近場のゲームセンターを選んで佐々木に連れてきてもらった。
そこは近場でも一番大きくて、いろいろなゲームが楽しめるし、他にもいろいろなスポーツが出来て1日遊べるらしい。
緋桜も何気に楽しみにしてたみたいで、携帯で何があるのか調べてた。
ただ楽しみにしてた反面、緋桜は自分が楽しみにして何かトラブルが起きないかも心配していた。
緋桜は今までそうやって周りを気にして生きてきたから、そういうとこはすぐには変わらない。
今日は緋桜が楽しめたらそれでいい。
「……ごめん」
俺が謝ると、緋桜はフルフルと首を振る。
俺は取り返しの出来ないミスをした。
なんで先に気付けなかった?
少し考えればすぐに分かったのに……
俺はそう思って、顔に手を当てて盛大にため息をついた。
ゲームセンターに着くと、その前にはニコニコと笑う先輩たちが立っていた。
「いや~奇遇だなぁ」
佐倉先輩が手をヒラヒラさせながらにこやかに言う。
「本当偶然よね」
と宮藤先輩が『フフッ』と笑う。
「まさかこんなとこで会うとは思わなかったですね」
日向先輩はそう言ってニコッと笑う。
「………何であんたらが居るんだ」
そう言って俺は項垂れる。
「だから偶然だって言ってるじゃん」
佐倉先輩がそう言ってニヤッと笑った。
「絶対嘘だろっ!」
そう、俺のミスは……
この人たちに行き先を相談してしまったことだ。
数日前、緋桜とゲームセンターに行くって決めたは良いものの、俺自身もあまり行ったことがなくてどこが良いのか分からなくて、そういう場所に詳しそうな先輩たちオススメを聞いてしまった。
先輩たちが来るかもしれないって少し考えれば予測出来たのに。
先輩たちは俺たちがデートだと分かってて一緒に遊ぼうと言い出す。
「なぁ、中村は俺たちが居たら迷惑か?」
「私たちと遊ぶのは嫌?」
「駄目ですか?」
先輩たちはそう言って今度は緋桜に迫る。
「え…ぁ……俺は……」
緋桜は迫ってくる先輩たちに押されながら後退る。
「緋桜に絡むな!」
そう言って俺は緋桜と先輩たちの間に入る。
「あんたらもう帰れ!」
俺がそう言うと、先輩たちは拗ねた顔をする。
「えぇ~ちょっとくらい遊んでくれてもいいじゃん。俺たちだって可愛い後輩と遊びたいのに」
と佐倉先輩はわざとらしく泣き真似をする。
「そうよ、私たちだってもっと二人と仲良くなりたいのに」
宮藤先輩はハァとため息をついて寂しそうな顔をする。
「冷たいですよね」
日向先輩も宮藤先輩に乗っかって寂しそうにする。
ほんっと、この3人が揃うと質が悪い!!
そんなやり取りをしていると、後ろにいた緋桜が俺の服をクイクイと引っ張る。
「別に先輩が一緒でも……」
「嫌だ!俺は緋桜と二人がいい!!」
俺がそう言うと、緋桜は驚いた顔をする。
その後、緋桜の顔が赤くなった。
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