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第150話

「随分楽しそうだな」 後ろからそう声がして振り替えると、そこには斎藤和樹が立っていた。 顔を見た瞬間、心臓が鳴る。 「まさかお前が生徒会とつるんでるとはな」 そう言うと斎藤はニヤリと笑う。 「『疫病神』が、今度は誰を不幸にするんだ?」 ………なんで……なんでこの人が………… そう考えてると、さっきまで笑ってた斎藤の笑みが消える。 「なぁ、なんでそんな楽しそうなの?お前が楽しそうなの、すげームカつくんだけど」 そう言ってゆっくりと近付いてくる。 心臓がドクドクといってるのが分かる。 うまく呼吸が出来ない。逃げたいのに足が動かない。 怖い…… 「あはっ!いいね、その顔。俺の事が怖い?」 そう言って斎藤は笑う。 俺はうまく動かない足をかろうじて動かして後退る。 このままなんとか逃げられれば、そう思った瞬間腕を掴まれた。 「まさか逃げようなんて考えてないよな?」 そう言って斎藤は掴んだ俺の腕を引いて従業員専用の通路に入ると、そのまま壁に押し付けた。 壁に押し付けられて身動きが取れない。 その瞬間、あの時の記憶が甦った。 思い出したくないのに、頭の中にあの時の光景が浮かんでくる。嫌でも思い出してしまう。 俺が、この人に犯された記憶。 嫌だ 嫌だ 体が震える。 「何震えてるんだ?」 そう言った斎藤が、何か思い当たったみたいに笑う。 「もしかして俺に犯されたこと思い出しちゃった?」 そう言って斎藤はニヤッと笑った。 その瞬間、ヒュッと息が詰まった。 「なんなら、もう一度犯してやろうか?」 そう言うと斎藤は俺の股の間に自分の足を割り込ませてきた。 グッと俺の股間に足を押し付ける。 「っ!…やっ…やだ」 俺はなんとか逃れようと抵抗する。 でもやっぱり力では敵わなくて、斎藤は俺を押さえる手に更に力を入れた。 「何抵抗してんの?今さら一回も二回も変わんないだろ?もう、汚れてんだからさ」 そう耳元で斎藤の声がした。 涙が出た。 この人が怖い。 この人に触られるのが嫌だ。 嫌だ 嫌だ 助けて 「……しゅ……ゃ……」 完全に無意識だ。 俺は声に出してることすら気付かなかった。 「しゅうや?……あぁ、生徒会長か。何?助けてくれるとでも思ってるの?」 その後、『フッ』と笑う斎藤の声がした。 「誰がお前なんか助けに来るかよ」 『疫病神のくせに』 その言葉だけが耳に残った。

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