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第156話

(秋哉side) 家に帰って佐々木に緋桜の様子を聞いた。 緋桜は昼食にも来なかったみたいで、佐々木が声を掛けてもやっぱり返事はなかったらしい。 さすがに丸1日何も食べてないとなると問題だな。 そう思って俺は緋桜の部屋に向かった。 「緋桜」 俺は名前を呼びながらドアをノックする。 でもやっぱり返事はない。 「…緋桜、開けるよ」 本当は出てくるまで待つつもりだったけど、ここまで出てこないとなるとやっぱり心配になる。 俺は少し罪悪感を感じつつもドアノブに手を掛けた。 「緋桜?」 ゆっくりとドアを開けて緋桜中の様子を伺う。 カーテンは閉められてて、電気もついてないから部屋の中は薄暗い。 ベッドに目を向けると、布団が盛り上がってる。 そこに緋桜がいると思ったら少しホッとした。 「……緋桜」 俺はベッドに近付くと盛り上がった布団にそっと触れた。 その瞬間、布団が微かに動く。 「緋桜、出てきて」 そう言っても反応はない。 「ねぇ緋桜、何か食べよう。緋桜、昨日から何も食べてないでしょ?」 俺はそう言ってベッドの縁に座ると、緋桜の反応を待った。 しばらくすると、布団がモゾッと動く。 その隙間から微かに緋桜が顔を出した。 「……ごめん、今は何も食べなく、ない」 緋桜はかろうじて聞こえる声で言う。 「…具合悪い?」 そう聞くと、緋桜は小さく首を振る。 「起きられる?」 そう言うと、緋桜はモゾモゾと動いて起き上がった。 暗がりだからちゃんとは分からないけど、緋桜の顔色が悪いような気がした。 やっぱり斎藤に会ったことを引きずってるのか。 「……ごめん」 そんな事を考えてると、緋桜がボソッと呟く。 「え?」 俺は聞き取れなくて聞き返す。 「……ごめん、秋哉にも佐々木さんにも、心配かけて……」 「緋桜?」 「……やっぱり俺……みんなの、迷惑にしかならない」 緋桜は聞こえるか聞こえないかの声でブツブツと言う。 ……何を言ってるんだ? 「……やっぱり『疫病神』の俺は……みんなの近くに居るべきじゃなかった…」 「緋桜!!」 俺は名前を呼んで緋桜の肩を掴む。 その瞬間、緋桜の体がビクッと跳ねる。 「何を言ってるの?」 『疫病神』なんて言葉、最近では緋桜の口から聞くことなんてなかった。 そんな自分を卑下する言葉、緋桜の口から聞きたくなかった。

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