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第163話

(秋哉side) 佐々木に緋桜が居なくなったと聞いて思い浮かんだ場所は学校の屋上だった。 緋桜は人が居るところを嫌う。 あそこは緋桜が唯一落ち着くと言った場所だ。 まかさとは思ったけど、そこしか思い付かなかった。 俺は急いでもと来た道を引き返す。 時間も時間で、生徒たちもまばらだ。 途中ですれ違った生徒に挨拶をされたけど、答えてる余裕なんてなかった。 廊下を走って、階段を最上階まで駆け上がる。 ずっと走ってて、さすがにきつい。 それでも足を止めようとは思わなかった。 屋上につくと、少し呼吸を整えてドアを開けた。 ドアを開けると誰も見当たらない。 緋桜はここは人が居なくて落ち着くって、ここから見る景色が好きだって前に話してくれた事があった。 俺も緋桜と一緒に居られるここが好きだ。 でも今はそれどころじゃない。 俺は緋桜の姿を探して辺りを見回す。 緋桜、どこにいる? 辺りを見回すけど、見つけられない。 ……ここじゃないのか? そう思った瞬間、奥の方でカシャンと音がした。 見てみると緋桜がフェンスを乗り越えようとしていて、俺は考えるより先に体が動いて緋桜を抱き寄せた。

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