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第171話

(秋哉side) 緋桜の様子を見に部屋に行くと、緋桜は起きてて何か考え込んでた。 多分状況が把握出来ないんだろうなと思う。 「ねぇ緋桜、一昨日の事覚えてる?」 俺がそう聞くと、緋桜一瞬きょとんとして次に困惑した表情をする。 今、緋桜の頭の中でハテナマークが飛び交ってるのが手に取るように分かる。 その様子を見て、俺は思わず笑ってしまった。 そんな俺を見て、緋桜の中で更にハテナマークが飛び交っている。 「緋桜ね、昨日丸1日寝てたんだよ?」 俺がそう言うと、緋桜はまだ理解出来てないみたいでポカンとしてしまった。 「………丸、1日…?」 そう呟いたかと思ったら、緋桜はバッと時計に付いてるカレンダーに目を向ける。 日付を確認すると、緋桜はかなり驚いていた。 緋桜はあの後、車に乗ってすぐに眠ってしまった。 恐らくこの数日、まともに寝られなかったんだろう。 緋桜自身、限界だったのかもしれない。 家に着いても起きる気配が無かったから、俺がここに運んだ。 ただ次の日になってもなかなか起きて来なくて、さすがに心配になって医者に診てもらったけど、ただ寝てるだけと言われて様子見ることになった。 まさか丸1日寝るとは、俺も思いもしなかったけど。 緋桜を見ると、まだ信じられないみたいで時計のカレンダーとにらめっこしている。 その姿に、俺はまた笑ってしまった。 「ねぇ緋桜、キッチンに行こうか?」 ようやく納得して落ち着いた緋桜にそう言うと、緋桜は少し首を傾げる。 「この数日、まともに食べてなかったでしょ?何か軽く食べた方がいい」 そう言うと緋桜は頷いた。 俺が先に入口に向かって、その後から緋桜が着いてくる。 「うわっ!」 緋桜の叫び声の後にドタッと何かが落ちる音がした。 慌てて振り返ると、どうやら緋桜がベッドから落ちたみたいだった。 「緋桜!?大丈夫!?」 「……大丈夫」 緋桜はそう言うけど、痛みで少し顔をしかめていた。 「どうしたの?」 そう言って俺は緋桜に手を差し伸べる。 「……ごめん、なんか体が上手く動かなくて」 緋桜は俺の手に掴まって立とうとするけど、フラついてしまう。 俺は緋桜を支えてベッドに座らせた。 「ずっと寝てたから体が固まっちゃったかな?すぐ戻ると思うけど、どうする?」 そう聞くと緋桜は首を傾げる。 「食事、こっちに運んでこようか?」 緋桜は少し考えた後、首を振った。 「…行く」 「でも上手く歩けないんでしょ?」 「支えたら何とか行ける」 そう言って緋桜はサイドテーブルとか棚とかを掴んで何とか立とうとする。 俺は考えた末、緋桜を横抱きに抱きかかえた。

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