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第172話
秋哉に丸1日寝てたと聞いて驚いた。
日付を確認すると、確かに1日飛んでた。
この数日、寝ると必ず夢を見た。
夢を見るのが嫌で寝ることを避けてた。
その反動なのかなと思う。
そんな事を考えながらカレンダーを眺めていると、秋哉に笑われた。
とりあえず落ち着くと、秋哉が『キッチンに行こう』と言った。
何でキッチンなんだろうと思って首を傾げると、秋哉に『まともに食べてなかったから、何か食べた方がいい』と言われた。
言われてみればそうだと思う。
秋哉や佐々木さんが何度も食事を運んでくれてたのは知っていた。
でも、食べる気になれなくて手をつけなかった。
その事でも佐々木さんに心配掛けてしまった。
俺は佐々木さんにもう一度謝らなきゃと思った。
秋哉と一緒にキッチンに行こうとすると、体が上手く動かなくてベッドから落ちてしまった。
ずっと寝てたから体が固まってしまってたらしい。
秋哉に『どうする?』って聞かれたけど、佐々木さんとも話がしたかった。
何かに掴まれば歩けないこともなかったから、そうしようとしたらいきなり秋哉に横抱きに抱えられた。
「っ!なっ!?」
突然のことで慌てる俺を横目に、秋哉はニッコリ笑う。
「こっちの方が早いよ」
「大丈夫だから!一人で歩ける」
「でもフラついてたでしょ?」
そう言われると俺は何も言えない。
しばらく抵抗したけど、秋哉に下ろす気がないのが分かって俺は観念した。
俺を抱えてる間、秋哉はずっと楽しそうにニコニコとしてた。
その顔を見て、秋哉が楽しそうならまぁいいかと思ってしまった。
ただその状態でキッチンに行ったら、キッチンにいた佐々木さんに驚かれたのは言うまでもない。
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