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第175話

(秋哉side) 緋桜はずっと寝てたから寝れないみたいで、俺の事を考えてか自分の部屋に戻っていこうとした。 俺はそれを止めて自分の部屋に緋桜を連れていく。 それには緋桜も少し戸惑っていた。 緋桜が起きてるなら俺も起きてるって言ったはいいものの、俺は昨日あまり寝られなかったから今になって睡魔が襲ってくる。 頑張ってはみたものの、段々と意識が沈んでいった。 緋桜が何か言ったみたいだけど、上手く聞き取れなかった。 意識が沈んでいく中で、頬や髪の毛に何か触れる感触がして沈みかけてた意識が浮上する。 髪の毛がサワサワする。緋桜が俺の髪を触ってるみたいだ。 毛先を軽く引っ張ってみたり、指を通してみたり、遊んでるのか? 緋桜がこういうことをしてくるのは珍しいし、俺が起きてるって分かったら絶対恥ずかしがるから、寝たフリをしておこうと思ったけど…… 『…秋哉、ほんとに寝ちゃったの?』 『もう少しだけ話、したかったんだけどな…』 そんな事を言いながら、緋桜は俺の髪を触る。 こんなことされて、寝たフリなんて出来るわけがない。 俺は髪を触ってる緋桜の手を掴んだ。 「あんま可愛いことしないでくれる?」 そう言うと、緋桜は驚いた顔をした。 ポカンとしてその後、顔が真っ赤になる。 「えっ!?なっ!?なんで!?」 そう言ってアワアワと慌て出す。 本当、可愛いな。 「あんなことされて、寝てなんていられないよね?」 俺は緋桜の手を掴んだまま、体を反転させて緋桜に覆い被さった。 緋桜を見下ろすと緋桜は固まってしまう。 しばらくして状況が分かったのかまた顔を赤くして慌て出した。 そんな緋桜に思わず笑みが溢れる。 「俺が寝ちゃって寂しかった?」 そう聞いたのは、ちょっとした意地悪。 俺だって緋桜が足りない。 でもさすがに今日は何もしないでおこうと思ってた。 緋桜は顔を真っ赤にして目を逸らす。 「……さみし、かった……」 そう言う緋桜の目は若干潤んでいる。 あ、うん…… これは無理かな。

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