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第177話

(秋哉side) 俺は堪らなくなって緋桜にキスをする。 「…っ…んっ……」 舌を絡めると、緋桜が次第に甘い吐息を吐く。 唇を離すと、緋桜はトロンとした表情を見せる。 それが更に俺を煽った。 緋桜の口の端から垂れた涎を指で拭う。 そのまま首筋をなぞって鎖骨まで指を這わせた。 くすぐったいのか、緋桜が体を捩る。 前に付けたキスマーク、もうすっかり消えちゃってる。 俺はそこに口付けた。 チュッと吸い付くと、緋桜がピクンと反応する。 唇を離すと、そこには赤い印がくっきりと浮かび上がった。 「俺の印」 そう言うと、緋桜はそこにそっと触れた。 「……秋哉の…?」 「うん、俺の」 俺がそう言うと、緋桜が突然泣き出した。 「え!?なんで泣くの!?」 それにはさすがに俺も焦った。 緋桜は『ごめん』と言いながら涙を拭うけど、拭った側からポロポロと溢れていた。 「…ごめ……なんか、ホッとして……」 そう言って緋桜は涙を拭う。 でも擦りすぎて少し目元が赤くなってきていて、俺は緋桜の手を掴んだ。 緋桜がじっと俺を見る。 俺が拭うのを止めさせたから、その目からは次から次に涙が溢れる。 緋桜は不安だったのかもしれない。 俺は緋桜に好きだと伝えた。 それは伝わってると思う。 でも、言葉は目に見えないから。 緋桜は何か、目に見える証みたいなのが欲しかったのかもしれない。 俺はそっと自分が付けたキスマークに触れる。 「これは、俺が緋桜の側にずっと居るって証。これが消えたらまた付けてあげる。 これが消えない限り、俺は緋桜から離れることはないから」 そう言って、俺は緋桜を抱き締めた。 緋桜は安心してか、泣き疲れてか分からないけど、抱き締めている内に眠ってしまった。 まさかここで寝られるとは思わなかった。 完全に生殺しだ。 俺は緋桜をベッドに寝かせた後、その寝顔を眺めながらため息をついた。 俺はとりあえず何か飲もうと思ってキッチンに向かった。 キッチンでは佐々木がまだ起きてて、片付けをしていた。 「どうしたんだ?」 俺に気付いた佐々木が手を止めて近寄ってくる。 「寝れない」 それだけ言うと、何か察した佐々木に座るように促される。 俺はそれに素直に従った。 佐々木は、自分はコーヒーで俺にはココアを入れて持ってくる。 こういう時の子供扱いは正直腹が立つ。 でも俺が子供なのは間違いないと思う。 そう思って俺は素直にココアが入ったカップを受け取った。 ココアを一口飲んでホッと息を吐く 。 「で?」 そう聞いてくる佐々木をチラッと見る。 「……緋桜が可愛いすぎる」 ボソッと言った後、俺はズズッとわざと音をたててココアを飲む。 佐々木を見ると、佐々木は呆れた顔をしていた。 その後は色々話をしたけど、半分佐々木のお説教みたいになった。

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